問題
Ⅲ-5 ある作業を観測したところ、観測時間は150DMであった。このとき、レーティング係数を120、余裕率を正味時間の15%としたとき、標準時間に最も近い値はどれか。
なお、余裕率は外掛法を用いることとする。
① 153DM
② 173DM
③ 180DM
④ 181DM
⑤ 207DM

解答
正解は 5 になります。
問題の概要
本問は、ワークメジャメント(作業測定)において最も重要な概念の一つである「標準時間(Standard Time)」の算出に関する問題です。
工場やサービス現場において、公平な作業割付や原価管理、生産計画の立案を行うためには、客観的な尺度が不可欠です。
標準時間を算出するためには、まず「観測時間(実測時間)」に対し、作業者の熟練度や努力度を補正する「レーティング」を行い、さらに不可避的な遅れや休息を考慮する「余裕」を加味する必要があります。
本問のポイントは以下の3点に集約されます。
- DM(デシマル・ミニット)単位の理解: 1分を100分割した単位(1DM = 0.6秒)であり、計算を簡略化するためにIE(インダストリアル・エンジニアリング)の現場で多用されます。
- レーティングによる正味時間の算出: 観測された数値を作業者のペースに合わせて修正するプロセスです。
- 外掛法による余裕の付加: 余裕率を「正味時間」に対して計算する手法であり、計算式の設定ミスが命取りとなります。
これらの理論的背景を正確に把握することが、正確な数値算出への第一歩となります。
各選択肢の詳細解説
① 153DM
この数値は、レーティングを考慮せず、観測時間の150DMに対して単純に2%程度の微小な修正を加えたような、計算の初期段階で誤った場合の数値です。
経営工学的な手順を踏んでいないため、誤りです。
② 173DM
これは、レーティング係数(120)を反映させて正味時間を算出した後の数値に近いですが、余裕率の加算が不十分、あるいは内掛法と混同した場合に導き出される可能性がある数値です。
論理的な整合性に欠けるため、誤りです。
③ 180DM
この数値は、観測時間150DMにレーティング係数1.2(120%)を乗じた「正味時間」そのものの値です。
$$150 \times 1.2 = 180$$
標準時間は「正味時間 + 余裕時間」で構成されるべきものであり、余裕を一切考慮していないこの選択肢は不適切です。
④ 181DM
これは計算過程での端数処理のミスや、外掛法・内掛法の公式を誤用して分母・分子の設定を間違えた場合に現れやすい数値です。
本問の条件を正確に反映していないため、誤りです。
⑤ 207DM
これが正解です。以下のステップで算出されます。
- 正味時間の算出:
観測時間にレーティング係数を乗じます。
$$150 \text{DM} \times \frac{120}{100} = 180 \text{DM}$$ - 標準時間の算出(外掛法):
外掛法では、正味時間に対して余裕率を直接乗じます。
$$\text{標準時間} = \text{正味時間} \times (1 + \text{余裕率})$$
$$180 \text{DM} \times (1 + 0.15) = 180 \times 1.15 = 207 \text{DM}$$
論理的、かつ公式通りに導出された正しい数値です。
追加解説
実務における「余裕」の扱いには、大きく分けて外掛法と内掛法の2種類が存在します。
- 外掛法(正味時間基準): 正味時間を100%とし、それに余裕分を上乗せします。
計算が容易なため、多くの現場で採用されています。
$$\text{標準時間} = \text{正味時間} \times (1 + \text{余裕率})$$ - 内掛法(標準時間基準): 標準時間全体を100%とし、その中に占める余裕の割合を定義します。
$$\text{標準時間} = \frac{\text{正味時間}}{1 – \text{余裕率}}$$
本問では「外掛法」と指定されているため、前者のシンプルな掛け算を選択するのが正解です。
もし内掛法で計算してしまうと、$$180 \div (1 – 0.15) \approx 211.7 \text{DM}$$となり、選択肢から外れてしまいます。
まとめ
- 観測時間にレーティングを反映させたものが正味時間である。
- 正味時間に余裕時間を加えたものが標準時間である。
- 外掛法の計算式は「正味時間 × (1 + 余裕率)」である。
- DM(デシマル・ミニット)は、1分=100DMとして扱うIE独自の単位である。
感想
DM、久しぶりですね!
最初この勉強をはじめた頃はサッパリわからなかったなあ・・・

久しぶりすぎたからか、不正解でした・・・。
もう一度やり直します。