令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-25

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問題

Ⅲ-25 5年後の投資案における投資額(終価)Sを現在価値に換算する次の計算式のうち、最も適切なのはどれか。なお、資本の利率はiとし、複利で計算するものとする。

① S × (1+i)^5

② S/(1+i)^5

③ S/(1+5i)

④ S/(5i)

⑤ S × (1+5i)

解答

正解は 2 になります。

投資案と現在価値(PV)の考え方

将来に得られる金額の価値を、「今の時点の価値(現在価値, Present Value, PV)」に直すことは、資金計画や投資判断において非常に重要な分析手法です。
たとえば、5年後にもらえる100万円と今もらえる100万円は「同じ価値」とは言えません。
なぜなら、今100万円もらえば、銀行に預けて利息を得たり、他の投資に使ったりできるからです。

この「時間によるお金の価値変化」を考慮するには、「利率」と「複利」の概念が欠かせません。

利率と複利計算

  • 利率 (i)…お金を1年預けたときに増える割合(例えばi=0.05なら5%)。
  • 複利…得られた利息も元本に加えて、さらに利子がつく計算方法。

たとえば、年利5%で1万円を5年間複利で運用した場合、

  • 1年後: 1万円 × (1+0.05)
  • 2年後: 1万円 × (1+0.05)^2
  • 5年後: 1万円 × (1+0.05)^5

上記から分かるように、「将来価値(終価)」を求めるときは掛け算ですが、「現在価値(PV)」を求めるときは逆算として割り算を用います。

選択肢ごとの詳細解説

① S × (1+i)^5

この式は「現在の金額Sを5年後の金額に増やす」複利計算の式です。
例:今100万円を利率iで5年複利運用したときの「将来価値(終価)」
→ 今回の問題(将来のSを現在価値に逆算)とは逆です。

② S/(1+i)^5

この式が「将来の金額Sを、現在価値へ換算する」 標準的な複利現価計算式です。
例えば、将来S=100万円もらえるとき、利率iで現在価値に換算するには
$$PV = \frac{S}{(1+i)^5}$$
となります。分母が5年分の複利増加分で、Sをそれで割ることで、今の価値を算出します。

→ 正解

③ S/(1+5i)

これは単利(単純計算)の考え方です。複利でなく、1+5iは「i×5」年分だけ単純に増やした形。5年以上複利を考慮する場合は誤りです。

④ S/(5i)

これはまったく意味の違う計算です。「5年分の利息だけ」で割るものなので、現価係数ではありません。

⑤ S × (1+5i)

これも③と同じような単利計算・将来価値としても不適切な式です。


図解例:複利による現在価値の計算

年数将来価値(S)現在価値(PV)計算式
1年後SS / (1+i)
2年後SS / (1+i)^2
・・・・・・・・・
5年後SS / (1+i)^5

まとめ

今回のポイントは、「複利」の仕組みと、「現在価値」の計算方法です。
5年後に手にする金額Sの価値を今に換算するために用いる式が「S/(1+i)^5」であることをしっかり覚えましょう。
このような考え方は、ファイナンス理論や経済性工学、投資評価の基本知識です。

感想

複利、正直苦手です。

しかし問題が出てくる度に苦手だ苦手だと言っていては芸がないので前回ある程度じっくり解説文に力を入れたのでした。

見事に本日は正解!

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しかしあらたまて、理解しきれていないところがあるな。

繰り返し勉強だ!!

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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