令和2年度 経営工学部門 Ⅲ-4

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問題

Ⅲ-4 作業を遂行する上で、避けられない遅れ(余裕)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 疲労余裕は、動的筋肉労働の強度、静的筋肉疲労の強度などの生理的な測定に基づくため、作業の単調度による遅れは含めない。

② 標準時間を求める際に、一単位の作業に対する余裕時間を個別に直接求めることはできない。

③ 余裕時間は、対象業務に対して不規則的・偶発的に発生する。

④ 余裕時間は、稼働分析によって求めることができる。

⑤ 管理余裕は、作業余裕と職場余裕に区分される。

解答

正解は 1 になります。

問題の概要

経営工学における「標準時間(Standard Time)」の構成要素である「余裕時間」に関する問題です。
標準時間は、その作業に習熟した作業者が、規定の作業条件のもとで、普通の努力(標準的な作業ペース)をもって仕事を完遂するために必要な時間と定義されます。

標準時間は、大きく分けて「正味時間」と「余裕時間」の2つで構成されています。

  1. 正味時間: 主作業や付随作業など、その作業を遂行するために直接必要な時間。
  2. 余裕時間: 作業を遂行する過程で、不規則的、偶発的、または避けることのできない理由によって発生する遅れの時間。

余裕時間はさらに、作業に付随して発生する「作業余裕」、生理的な欲求や疲労回復のための「人間余裕(用足余裕・疲労余裕)」、そして職場管理上の不備などに起因する「職場余裕」といった形で分類されます。

今回の問題では、これら「余裕」の定義、分類、およびその算出方法についての正確な理解が問われています。
特に、現代の経営工学(IE)においては、身体的な疲労だけでなく、精神的なストレスや単調感による能率低下も「余裕」の対象としてどのように捉えるべきかが重要な論点となります。

各選択肢の詳細解説

① 疲労余裕は、動的筋肉労働の強度、静的筋肉疲労の強度などの生理的な測定に基づくため、作業の単調度による遅れは含めない。

不適切です。
疲労余裕は、肉体的なエネルギー消費(動的筋肉労働)や同じ姿勢を維持することによる負担(静的筋肉疲労)だけでなく、精神的な疲労や作業の「単調感」による能率減退を回復するための時間も含めて検討されるべきものです。
現代のIEでは、単純な肉体労働が減り、監視業務や反復作業が増加している背景から、単調度による影響も重要な加算要素として認識されています。

② 標準時間を求める際に、一単位の作業に対する余裕時間を個別に直接求めることはできない。

適切です。
余裕時間は、その性質上、不規則かつ偶発的に発生するものです。
したがって、1サイクル(一単位)の作業をストップウォッチで計測する際に、その都度正確な余裕を直接抽出することは困難です。
通常は、長時間の稼働分析(ワークサンプリング法など)を通じて、全体の稼働時間に対する余裕の割合(余裕率)を算出し、それを正味時間に乗ずることで求めます。

③ 余裕時間は、対象業務に対して不規則的・偶発的に発生する。

適切です。
余裕の定義そのものを説明しています。
毎サイクル必ず発生する要素は「正味時間(付随作業など)」に含めるべきであり、発生が不定期で予測しにくい遅れ(道具の調整、偶発的な打ち合わせ、生理現象など)を余裕として扱います。

④ 余裕時間は、稼働分析によって求めることができる。

適切です。
稼働分析、特にワークサンプリング法は、余裕率を算出するための代表的な手法です。
作業者の状態を瞬間的に観測し、「主作業」「付随作業」「余裕」などの項目に分類して集計することで、統計的に信頼できる余裕率を導き出すことができます。

⑤ 管理余裕は、作業余裕と職場余裕に区分される。

適切です。
余裕の分類体系において、作業そのものに起因する「作業余裕(材料待ち、小規模な刃具交換など)」と、職場の管理体制や配置に起因する「職場余裕(指示待ち、連絡など)」を合わせて「管理余裕」と呼ぶ分類法が一般的です。
これに対し、人に起因するものは「人間余裕」と呼ばれます。

追加解説

実務における「余裕率」の設定は、工場の生産性管理において極めて重要です。
余裕率は以下の計算式で標準時間に反映されます。

  1. 内掛法: 標準時間 = 正味時間 ÷ (1 - 余裕率)
  2. 外掛法: 標準時間 = 正味時間 × (1 + 余裕率)

※日本のJIS規格などでは一般的に「外掛法」が用いられます。

また、疲労余裕については「マルテン・式」などの計算式や、身体負荷に応じた「疲労加算率表」を用いて数値化されますが、近年ではメンタルヘルスや作業意欲の観点から、環境条件(騒音、照明、温度)や精神的緊張度も詳細にスコアリングされるようになっています。

まとめ

  • 余裕時間は、作業中に発生する不規則・偶発的な遅れである。
  • 疲労余裕には、肉体的疲労だけでなく単調感による精神的影響も含まれる。
  • 余裕の算出には、統計的な手法である稼働分析(ワークサンプリング)が適している。
  • 余裕は大きく人間余裕(生理、疲労)と管理余裕(作業、職場)に分類される。
  • 標準時間は、正味時間にこれら余裕を合算して策定される。

感想

どうにか正解でした。

どうも自信が無くて。

これは復習に限りますな!

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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