問題

Ⅲ-31 設備管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 設備の高度化に伴う設備投資金額の巨大化は、経営を圧迫しかねないので、設備のライフサイクル全体を通じて投資金額をいかに抑えるかは重要なテーマである。

② 設備管理で扱う設備の対象には、土地や建物などの固定資産は含まれないから、いわゆる動産が設備管理の範囲である。

③ 製品仕様の変更に柔軟に対応できるよう設備をあらかじめ設計しておく必要がある。

④ 製品ライフサイクルの短命化により、投資資金を短期間で回収できる設備が望ましい。

⑤ 現在使用している設備性能と比べ、より高性能の設備が登場し、設備性能が旧式化したり陳腐化したりした場合の取替を設備更新という。

解答

正解は 2 になります。

経営工学における設備管理の重要性と課題

経営工学は、企業の経営効率を向上させるために工学的手法を適用する学問分野です。その中でも設備管理は、企業の生産性と競争力に直接影響を与える重要な要素です。今回は、設備管理に関する問題を通じて、その重要性と課題について詳しく解説していきます。

各選択肢の詳細解説

① 設備投資と経営への影響

この記述は適切です。近年、製造業を中心に設備の高度化が進んでおり、それに伴い設備投資の金額も増大しています。これは企業の財務に大きな負担をかける可能性があります。そのため、設備のライフサイクル全体を通じて投資金額を抑えることは、経営上非常に重要なテーマとなっています。

ライフサイクルコスト(LCC)の考え方を導入し、設備の購入費用だけでなく、運用・保守・廃棄までの全コストを考慮することが重要です。これにより、長期的な視点で最適な設備投資を行うことができます。

② 設備管理の対象範囲(不適切な記述)

この記述が最も不適切です。設備管理の対象には、動産だけでなく、土地や建物などの固定資産も含まれます。企業にとって、建物や土地も重要な経営資源であり、これらの効率的な管理も設備管理の重要な一部です。

例えば、工場のレイアウト設計や、オフィススペースの効率的な利用なども設備管理の範疇に入ります。また、建物の維持管理や省エネ対策なども、設備管理の重要な側面です。

③ 設備の柔軟性

この記述は適切です。現代のビジネス環境は急速に変化しており、製品仕様の変更に迅速に対応できることが競争力の維持に不可欠です。そのため、設備設計の段階から将来の変更に対応できるよう柔軟性を持たせることが重要です。

具体的には、モジュール化された設備や、ソフトウェアによる制御が容易な設備などが求められます。これにより、製品ラインの変更や生産量の調整に素早く対応することができます。

④ 投資資金の回収

この記述も適切です。製品ライフサイクルの短命化は、多くの産業で見られる傾向です。特に、技術革新の速い電子機器産業などでは顕著です。このような環境下では、設備投資した資金を短期間で回収できることが重要になります。

投資回収期間(パイバック期間)を短縮するためには、高効率の設備を導入したり、稼働率を上げたりするなどの工夫が必要です。また、リースやレンタルなど、初期投資を抑える方法も検討されます。

⑤ 設備更新の定義

この記述も適切です。設備更新は、現在使用している設備よりも高性能な設備が登場した際に行われる重要な経営判断です。技術進歩により、既存の設備が旧式化したり陳腐化したりした場合、競争力維持のために設備更新が必要となります。

設備更新を行うかどうかの判断には、新設備導入によるコスト削減効果や生産性向上効果、市場での競争力強化などを総合的に評価する必要があります。

まとめ

設備管理は、企業の生産性と競争力を左右する重要な経営課題です。適切な設備投資と管理により、企業は効率的な生産体制を構築し、市場の変化に柔軟に対応することができます。一方で、不適切な設備管理は、過剰投資や非効率な生産につながる可能性があります。

経営工学の観点から設備管理を考える際は、単に機械や建物の管理だけでなく、企業全体の経営戦略との整合性や、長期的な視点での投資効果を考慮することが重要です。

感想

はい、ワタクシは工場における生産設備の設計をメインにやっておりますので。

この問題、もちろん正解しました。

設備投資に関しては過去問にはなく今回が初めてだったようです。

恐らく今後はそこそこな頻度で出るのでは?と予想。

過去問、まだ先まで見ていないのですが・・・・。

と、思って見返してみたら!

過去に1問ありました。

失礼しました!

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