平成25年度 経営工学部門 Ⅲ-33PR含む
問題
Ⅲ-33 次のうち、物流におけるモーダルシフトの説明として最も適切なものはどれか。
① ある輸送単位の貨物を組替えることなく、トラック、船舶、鉄道車両、航空機などの異なった輸送機関を組み合わせて行う輸送形態。
② 地域間の幹線貨物輸送をトラックから鉄道又は内航海運へ転換し、トラックと連携して複合一貫輸送を推進すること。
③ 貨物をトラック、船舶、航空機、その他の輸送機関によって、ある地点から他の地点へ移動させること。
④ 複数の企業が、物流業務の効率化、顧客サービスの向上、交通混雑の緩和、環境負荷の軽減などのために物流機能をまとめること。
⑤ 荷主企業でも物流事業者でもない第三者が荷主のロジスティックスを代行するサービス。
解答
正解は 2 になります。
モーダルシフトと物流効率化:経営工学の視点から
経営工学は、企業の経営を科学的に分析し改善する学問です。その中で物流は重要な要素の一つであり、効率的な物流システムの構築は企業の競争力向上に直結します。今回は、物流における「モーダルシフト」という概念について詳しく解説していきます。
問題の概要
この問題では、物流におけるモーダルシフトに関する5つの説明が示されており、その中から最も適切なものを選ぶ必要があります。正解は2番ですが、なぜそれが最も適切なのか、そして他の選択肢との違いは何かを順番に解説していきます。
モーダルシフトとは
モーダルシフト(Modal Shift)とは、輸送手段(モード)を変更(シフト)することを意味します。特に物流の分野では、環境負荷の低減や輸送効率の向上を目的として、トラック輸送から鉄道や船舶による輸送へ切り替えることを指します。
各選択肢の詳細解説
① インターモーダル輸送の説明
この説明は、インターモーダル輸送(複合一貫輸送)を表しています。確かにモーダルシフトと関連する概念ですが、モーダルシフト自体を直接説明しているわけではありません。インターモーダル輸送は、モーダルシフトを実現するための一つの手段と言えます。
② モーダルシフトの正しい説明(正解)
この説明が最も適切です。モーダルシフトの核心を正確に捉えています:
- 地域間の幹線貨物輸送が対象
- トラックから鉄道または内航海運への転換
- トラックとの連携による複合一貫輸送の推進
この方式により、長距離輸送の効率化、CO2排出量の削減、ドライバー不足問題の緩和などが期待できます。
③ 物流の一般的な定義
この説明は、物流全般の定義を述べています。モーダルシフトという特定の概念を説明しているわけではありません。
④ 共同物流の説明
この説明は、共同物流(物流の共同化)を表しています。複数の企業が物流機能を共同で利用することで効率化を図る方法ですが、モーダルシフトとは異なる概念です。
⑤ サードパーティ・ロジスティクス(3PL)の説明
この説明は、3PLサービスを表しています。物流業務のアウトソーシングの一形態ですが、モーダルシフトとは直接関係ありません。
モーダルシフトの具体例と効果
モーダルシフトの具体例としては、以下のようなものがあります:
- 長距離トラック輸送を鉄道コンテナ輸送に切り替える
- 海上輸送可能な地域間で、トラック輸送を内航船(フェリーやRORO船)輸送に切り替える
これらの方法により、以下のような効果が期待できます:
- CO2排出量の削減:鉄道や船舶はトラックに比べてCO2排出量が少ない
- 輸送効率の向上:大量輸送が可能になり、1回の輸送量が増加する
- 道路渋滞の緩和:道路を走るトラックの数が減少する
- 労働力不足への対応:トラックドライバーの需要が減少する
モーダルシフトの課題
一方で、モーダルシフトには以下のような課題もあります:
- インフラ整備:鉄道や港湾の設備投資が必要
- 輸送時間の増加:直接トラック輸送に比べて時間がかかる場合がある
- コスト:短期的にはコスト増加の可能性がある
- 柔軟性の低下:天候や災害の影響を受けやすい
まとめ
モーダルシフトは、環境負荷の低減と物流効率化を両立させる重要な戦略です。経営工学の観点からは、企業の物流戦略全体の中でモーダルシフトをどのように位置づけ、実施していくかが重要な課題となります。
また、モーダルシフトは単なる輸送手段の変更ではなく、サプライチェーン全体の最適化につながる可能性を持っています。そのため、経営者や物流担当者は、自社の物流システムを包括的に見直し、モーダルシフトの導入可能性と効果を検討することが求められます。
感想
物流関連も必ず出ますね。
明日の問題も物流ものですし。
過去問ではこれ↓が今回のものに近そうです。
モーダルシフト、どこかで見ていたので今回は正解でした。
このあたりはレーダー張っておいた方がよさそうですねえ。