問題
Ⅲ-35 安全管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 生産現場において事故及び災害を防止するために計画を立て、実施するための活動が安全管理である。
② 安全装置、保護具その他の危険防止設備の定期的点検及び整備は安全管理業務に含まれる。
③ 従業員への安全教育は安全管理業務に含まれない。
④ フールプルーフとは、最も立場の弱いユーザが最悪の状態で、機器や装置などを操作しても、エラーを起こそうにも起こすことができないように工夫された設計を意味する。
⑤ フェイルセーフとは、運転中のシステムの一部に故障が起きても、システム全体にその影響を及ぼさず、ある期間システムの機能を維持できるような機構をさす。
解答
正解は 3 になります。
安全管理の基本概念と重要性
製造業をはじめとする企業活動において、安全管理は最も重要な経営課題の一つです。従業員の安全と健康を守り、事故や災害を未然に防ぐことは、企業の社会的責任であると同時に、生産性向上にも直結します。
各選択肢の詳細解説
① 安全管理の定義
この記述は適切です。安全管理とは、事故や災害を防止するための計画的な活動全般を指します。具体的には:
- リスクアセスメント
- 安全対策の立案
- 実施計画の策定
- PDCAサイクルによる継続的改善
② 設備の点検・整備
この記述も適切です。安全管理業務には以下のような設備の管理が含まれます:
- 安全装置の定期点検
- 保護具の管理と整備
- 危険防止設備の保守
- 点検記録の管理
③ 安全教育(不適切な記述)
この記述が最も不適切です。安全教育は安全管理の最も重要な要素の一つです。以下のような教育が含まれます:
- 新入社員への安全教育
- 定期的な安全講習
- 作業手順の教育
- 事故事例の共有と学習
- 法定教育の実施
④ フールプルーフ
この記述は適切です。フールプルーフとは、人的ミスを防ぐための設計思想で、以下のような特徴があります:
- 誤操作を物理的に不可能にする
- 最も不慣れなユーザーでも安全に使用できる
- 間違った使い方ができない構造
例:
- USBコネクタの形状(逆差しができない)
- 工作機械の両手操作式起動スイッチ
- 自動車のシフトロック機構
⑤ フェイルセーフ
この記述も適切です。フェイルセーフは、故障が発生しても安全側に制御される設計思想です:
- システムの一部が故障しても全体の安全性を確保
- 故障時に最も安全な状態に移行
- バックアップシステムの確保
例:
- エレベーターの非常ブレーキ
- 電車の自動停止装置
- 原子炉の緊急停止システム
安全管理の重要性
安全管理は以下の観点から企業経営において極めて重要です:
1.法的責任の遂行
- 労働安全衛生法の遵守
- 各種規制への対応
- コンプライアンスの確保
2.経営効率の向上
- 事故による損失の防止
- 生産性の維持・向上
- 従業員の士気向上
3.社会的責任の遂行
- 従業員の安全確保
- 企業イメージの維持
- 地域社会との共生
まとめ
安全管理は、単なる事故防止にとどまらず、企業の持続的発展に不可欠な経営要素です。フールプルーフやフェイルセーフなどの設計思想と共に、適切な教育訓練や設備管理を通じて、総合的な安全確保を目指す必要があります。
感想
以前、職場の安全委員やってたのでこれは正解でした。
安全教育、大事ですもんね。
たまに現場監督もやっていたのでだいぶ学んだと思います。
安全管理についての過去問はありませんね。
フェールセーフあたりはここ↓に出ていました。
フェールセーフ、フェイルセイフと言葉の揺らぎはありますが・・・・。