問題

III – 6 標準化及び社内標準化に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 標準化は、単純化と専門化とともに企業活動を効率的に行うための考え方である3Sの1つである。

② 標準化の推進による損失は、標準化の方向が現状維持的、保守的な傾向があるため、急速な技術革新や販売面での要請の変化に適応しにくいことといえる。

③ 設計、品種構成、構造、組織、手法、職務、システムにおける標準化とは、種類を制限し、部品や要素の共通性を高めたりして複雑さを減らす考え方である。

④ 現在や将来の問題について、ある状況で秩序を維持するために、共通に繰り返し適用されるルールを定める活動は、標準化の活動といえる。

⑤ 標準化には、加盟各国のすべての関係組織体にかかわる国際標準化、ある領域に所属する国々における地域標準化、ある国内に適用される国家標準化のほか、一企業内だけに関係する社内標準化がある。

解答

正解は 3 になります。

標準化および社内標準化の解説

標準化とは、製品やサービス、作業手順などにおいて一定の基準を設けることで、効率性や品質を向上させるための活動です。

例えば、ネジのサイズがどのメーカーでも同じであれば、部品の互換性が高まり、製造や修理が容易になります。

このように、標準化は業務効率化やコスト削減に大きく寄与します。

また、社内標準化は企業内で適用される標準化の一種で、生産工程や管理手法を統一することで、組織全体の効率を高めることを目的としています。


各選択肢の詳細解説

① 標準化は、単純化と専門化とともに企業活動を効率的に行うための考え方である3Sの1つである。

  • 解説: 3Sとは、標準化(Standardization)単純化(Simplification)専門化(Specialization)の3つを指し、企業活動を効率的に行うための基本的な考え方です。これらは互いに補完し合いながら、生産性向上やコスト削減に寄与します。
  • 適否: この記述は正しいです。

② 標準化の推進による損失は、標準化の方向が現状維持的、保守的な傾向があるため、急速な技術革新や販売面での要請の変化に適応しにくいことといえる。

  • 解説: 標準化にはメリットだけでなくデメリットもあります。その1つが「柔軟性の欠如」です。標準化が進むと、一度決めた基準に縛られ、新しい技術や市場ニーズへの対応が遅れる可能性があります。この記述はそのデメリットを正しく指摘しています。
  • 適否: この記述も正しいです。

③ 設計、品種構成、構造、組織、手法、職務、システムにおける標準化とは、種類を制限し、部品や要素の共通性を高めたりして複雑さを減らす考え方である。

  • 解説: この記述には誤りがあります。確かに標準化には「種類を制限し共通性を高める」という側面がありますが、それだけではありません。標準化は単なる「複雑さの削減」だけでなく、「品質向上」や「効率性向上」を目的としており、多面的なアプローチが求められます。この記述は標準化の本質を一面的に捉えているため、不適切です。
  • 適否: この記述が不適当です(正解)。

④ 現在や将来の問題について、ある状況で秩序を維持するために、共通に繰り返し適用されるルールを定める活動は、標準化の活動といえる。

  • 解説: 標準化とは、一貫したルールや基準を定め、それを繰り返し適用することで秩序や効率性を維持する活動です。この記述は標準化の定義として正しい内容です。
  • 適否: この記述も正しいです。

⑤ 標準化には、加盟各国のすべての関係組織体にかかわる国際標準化、ある領域に所属する国々における地域標準化、ある国内に適用される国家標準化のほか、一企業内だけに関係する社内標準化がある。

  • 解説: 標準化にはさまざまなレベルがあります。例えば:
  • 国際標準化: ISO(国際標準化機構)などによる国際的な基準。
  • 地域標準化: EUなど特定地域内で共有される基準。
  • 国家標準化: JIS(日本工業規格)など国内レベルで制定される基準。
  • 社内標準化: 一企業内で適用される独自基準。
    この記述はこれらを正確に説明しています。
  • 適否: この記述も正しいです。

なぜ③が不適当なのか?

選択肢③では、「種類を制限し共通性を高めたりして複雑さを減らす考え方」としており、それ自体は部分的には正しいものの、「複雑さ削減」だけでは標準化全体を説明するには不十分です。実際には以下も含まれます:

  • 品質向上
  • 生産性向上
  • コスト削減
  • 顧客満足度向上

そのため、この記述は不完全であり、不適当と判断されます。


問題の要点まとめ

標準化とは何か?

    • 製品やサービス、生産手順などについて一定基準を設けて効率性・品質向上を図る活動。
    • 社内外問わず、多くの場面で活用されている。

    メリットとデメリット

      • メリット:生産効率向上、一貫性確保、コスト削減など。
      • デメリット:柔軟性低下、新技術への対応遅れなど。

      感想

      標準化、大事ですねえ!

      以前勤めていた会社で、標準化資料ってあるのかと尋ねたら流用図面の入った紙ファイルををぽんと渡されました。

      品番は過去のもののまま、あんまり使われた形跡もなく。

      標準化、というより流用元ってことですねえ。

      人によってはその紙ファイルの存在、知らなかったりもして。

      そこに品質向上や効率性向上は感じられませんでしたね。

      こりゃ標準化のやりがいがある!と思ったものですが、そこは早々に退職しました。

      色々問題が多すぎたので・・・。