問題
Ⅲ-26 JIS Z8115ディペンダビリティ(信頼性)用語に関する次の記述のうち、最も不
適切なものはどれか。
① 頑健性(ロバストネス)とは、アイテムが無効な入力又はストレスとなる環境条件で、
正しく機能を遂行できる度合いを意味している。
② システム有効度とは、システムが規定の任務を達成すると期待される尺度で、信頼度、
アベイラビリティ、能力などの関数として表される。
③ 固有信頼度とは、設計、製作、試験などの過程を経て、アイテムに作り込まれる信頼
度を指している。
④ ディペンダビリティとは、アベイラビリティ性能及びこれに影響を与える要因、すな
わち信頼性性能、保全性性能及び保全支援能力を記述するために用いられる包括的な用
語である。
⑤ 信頼性設計とは、アイテムが故障したとき、あらかじめ定められた1つの安全な状態
をとるようにする設計技術と定義される。

解答
正解は 5 になります。
この問題は、日本産業規格(JIS)Z8115に基づくディペンダビリティ(信頼性)用語に関する知識を問うものです。ディペンダビリティとは、製品やシステムがどれだけ信頼できるか、どのように保守可能か、そしてその性能を維持するための支援能力を含めた包括的な概念です。
各選択肢の詳細解説
① 頑健性(ロバストネス)
- 内容:アイテムが無効な入力やストレスとなる環境条件下でも正しく機能を遂行できる度合いを指します。
- 解説:ロバストネスとは、システムや製品が予期しない状況や過酷な条件下でも壊れずに動作する能力を指します。例えば、スマートフォンが高温や低温でも正常に動作することは「ロバストネス」の一例です。この説明はJIS Z8115に基づいており、正しい記述です。
② システム有効度
- 内容:システムが規定された任務を達成すると期待される尺度であり、信頼度、アベイラビリティ(可用性)、能力などの関数として表されます。
- 解説:システム有効度は、システム全体がどれだけ有効に機能するかを示す指標です。例えば、工場の生産ラインが予定通り稼働する割合などがこれに該当します。この説明も正確であり、不適切ではありません。
③ 固有信頼度
- 内容:設計、製作、試験などの過程を経てアイテムに作り込まれる信頼度を指しています。
- 解説:固有信頼度は、その製品やシステム自体が持つ基本的な信頼性を意味します。これは設計段階で決定されるものであり、人為的な要因(例えば運用ミス)などは含みません。この記述も正しい内容です。
④ ディペンダビリティ
- 内容:アベイラビリティ性能およびこれに影響を与える要因(信頼性性能、保全性性能および保全支援能力)を記述する包括的な用語として用いられます。
- 解説:ディペンダビリティは、「信頼性」「保全性」「可用性」など複数の要素を含む広範囲な概念です。この説明もJIS Z8115に沿った正確な記述で、不適切ではありません。
⑤ 信頼性設計
- 内容:アイテムが故障したとき、あらかじめ定められた1つの安全な状態をとるようにする設計技術と定義されています。
- 解説:ここでの記述は誤りです。信頼性設計とは、本来「製品やシステムが故障しないように設計する技術」を指します。一方、この選択肢で説明されている内容は「フェイルセーフ設計」の定義に近いものです。フェイルセーフとは、故障や異常が発生した場合でも安全な状態を維持するように設計する技術です。この混同によって⑤は不適切な記述となります。
まとめ
この問題では、「最も不適切なもの」を問われています。各選択肢の内容を確認した結果、不適切なのは⑤「信頼性設計」です。その理由は、「信頼性設計」と「フェイルセーフ設計」の定義が混同されているためです。
問題の要点
- ディペンダビリティは「信頼性」「保全性」「可用性」など複数の要素を統合した概念。
- 各専門用語(ロバストネス、システム有効度、固有信頼度など)の正確な定義を理解することが重要。
- 「信頼性設計」と「フェイルセーフ設計」は異なる概念であることを明確に区別する必要がある。
感想
アベイラビリティという言葉は過去問で出ていましたが。
ディペンダビリティ、JIS Z8115はお初です。
今日は正解でした。
信頼性設計、実務でも出てくるので!!