令和元年度 経営工学部門 Ⅲ-14

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問題

Ⅲ-14 2015年版のJIS Q9000(ISO9000)品質マネジメントシステムの用語又は考え方に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 顧客満足とは、顧客の期待が満たされている程度に関する顧客の受け止め方である。

② 組織内の人々の積極的参加は、マネジメントシステムを推進していく原動力で、すべての人々にはそれぞれの力量があり、権限が与えられ、それらの人々が積極的に参加して、価値を創造することが、組織の目的を実現するために必須である。

③ あるプロセスのアウトプットは別のプロセスのインプットになる関係になり、インプットを使用して意図した結果を生み出す活動がプロセスであるという考え方が採用されている。

④ 関係性管理とは、持続的成功のために、供給元や供給先の業者のような密接に関連する利害関係者との関係を、組織が適切にマネジメントすることである。

⑤ 顧客からの要求事項とは、顧客によって表明された、又は指定されたニーズを指しており、明示されていない不特定の想定事項とは区別しなければならない。

解答

正解は 5 になります。

問題の概要

本問は「JIS Q9000(ISO9000)」に基づく品質マネジメントシステムの用語や考え方に関して、5つの記述の中から最も不適切なものを選ぶ形式です。
試験ではJIS Q9000の基本用語や概念を正確に把握し、似ている文章や誤った定義を見分ける力が必要です。


各選択肢の詳細解説

① 顧客満足とは、顧客の期待が満たされている程度に関する顧客の受け止め方である。

解説:
これはISO9000で定義されている「顧客満足」の説明です。
顧客満足とは、「顧客の期待がどれだけ満たされたか」を、顧客自身の視点で判断するものです。
顧客満足は製品やサービスに対する顧客の「評価・感覚」であり、客観的な数値ではなく、顧客の“気持ち”や“印象”が基準となります。
適切な記述です。


② 組織内の人々の積極的参加は、マネジメントシステムを推進していく原動力で、すべての人々にはそれぞれの力量があり、権限が与えられ、それらの人々が積極的に参加して、価値を創造することが、組織の目的を実現するために必須である。

解説:
ISO9000では「人々の積極的参加」(Engagement of people)は主要な品質マネジメントの原則に含まれています。
全員が役割や責任を持ち、それぞれに権限を与えることで、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
「各自が積極的に価値創造に関与することが組織の目標達成に不可欠である」という考え方は、標準的な説明となっています。
適切な記述です。


③ あるプロセスのアウトプットは別のプロセスのインプットになる関係になり、インプットを使用して意図した結果を生み出す活動がプロセスであるという考え方が採用されている。

解説:
これは「プロセスアプローチ」という品質マネジメントで重視される構造を簡潔に表しています。
組織の業務は連続したプロセスで構成されており、ある活動(プロセス)の成果(アウトプット)は、次のプロセスの材料(インプット)となる…この繰り返しが組織全体の業務です。
各プロセスでは、インプットを使って意図された結果(アウトプット)を生み出す仕組みが大切です。
適切な記述です。


④ 関係性管理とは、持続的成功のために、供給元や供給先の業者のような密接に関連する利害関係者との関係を、組織が適切にマネジメントすることである。

解説:
ISO9000は、組織がサプライヤー(供給元)や顧客(供給先)などの「利害関係者」と良好な関係を築き、適切にマネジメントする必要性を強調しています。
これは「関係性管理(Relationship management)」という品質マネジメントの原則によるもので、組織が長期的な成功を収めるための重要ポイントです。
適切な記述です。


⑤ 顧客からの要求事項とは、顧客によって表明された、又は指定されたニーズを指しており、明示されていない不特定の想定事項とは区別しなければならない。

解説:
一見すると正しいように思えますが、この記述が不適切です。
ISO9000では、「顧客要求事項」は、表明されている事項だけでなく、暗黙的なニーズや、顧客が明確に言語化していなくても当然期待される事項(暗黙の要求)も含みます。
例えば、安全性や法令遵守などは顧客が言わなくても満たして当然の要求です。
「明示されていない事項=対象外」という説明はISOの定義に反しています。


まとめ(要点)

  • JIS Q9000(ISO9000)は、品質マネジメントシステムにおいて「顧客満足」「人々の積極的参加」「プロセスアプローチ」「関係性管理」など、基本用語・原則を定義している。
  • 顧客要求事項の定義には「顧客が明示した事項」だけでなく、「暗黙の期待事項(言語化されていないが当然含まれる事項)」も入る点をしっかり押さえる必要がある。
  • 他の選択肢はISO9000における用語・考え方の正しい理解に基づいており、⑤のみが不適切な記述であることを理解しておくことが合格のポイント。

感想

品質マネジメントシステム、ビックリするほど出題されています。

そんなにないよな?なんて思っていたら過去問がまああるわ。

全部貼っておきましょう

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今回は正解でしたが。

過去問見直しておこう・・・・。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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