平成24年度 経営工学部門 IV-2PR含む
問題
IV-2 標準作業の決定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 経験の異なる複数の作業者が行う作業は、訓練された作業者のペースに基づいて標準作業を決めた。
② 作業場の温度環境で作業時間が変化するので、条件別に異なる標準作業を決めた。
③ 同じ作業が異なる作業順序で行われていたので、最も安定したものに一本化した。
④ 同じ加工を行う生産速度の異なる機械があり、それぞれ条件は異なるが、達成目標となるよう最速の機械を基準とした。
⑤ 試作段階の製品で設計変更の可能性があり、また品質も安定しないので、仮の標準作業を決めた。
解答
正解は 4 になります。
まずは標準作業とは何かから始めましょう。
標準作業とは?
標準作業とは、ある作業を最も効率的かつ安全に行うための手順や方法を定めたものです。これにより、品質の安定や作業効率の向上、作業者の負担軽減などが期待できます。
では、問題の選択肢を1つずつ見ていきましょう。
① 経験の異なる複数の作業者が行う作業は、訓練された作業者のペースに基づいて標準作業を決めた。
これは適切な方法です。訓練された作業者のペースを基準にすることで、目標となる効率的な作業方法を設定できます。ただし、新人の教育期間なども考慮する必要があります。
② 作業場の温度環境で作業時間が変化するので、条件別に異なる標準作業を決めた。
これも適切です。環境条件によって作業効率が変わることを考慮し、それぞれの条件に合わせた標準作業を決めることで、より現実的な基準を設定できます。
③ 同じ作業が異なる作業順序で行われていたので、最も安定したものに一本化した。
これも適切な方法です。作業順序を統一することで、効率が上がり、ミスも減らせる可能性が高くなります。
⑤ 試作段階の製品で設計変更の可能性があり、また品質も安定しないので、仮の標準作業を決めた。
これも適切です。製品開発の初期段階では変更が多いため、暫定的な標準作業を決めておき、後で調整する方が効率的です。
④ 同じ加工を行う生産速度の異なる機械があり、それぞれ条件は異なるが、達成目標となるよう最速の機械を基準とした。
これが最も不適切な方法です。なぜなら:
- 機械ごとに条件が異なるのに、最速の機械だけを基準にすると、他の機械では達成不可能な目標になる可能性があります。
- 無理な目標設定は、作業者のストレスや品質低下、機械の故障リスクを高める可能性があります。
- 各機械の特性や制約を考慮せずに標準を決めると、現実的でない作業基準になってしまいます。
適切な方法
より適切な方法は、以下のようなものです:
- 各機械の特性や制約を考慮する。
- 平均的な生産速度を基準とし、それを少し上回る程度の目標を設定する。
- 最速の機械の速度は、長期的な目標や改善の指標として活用する。
まとめ
標準作業を決める際は、現実的で達成可能な基準を設定することが重要です。作業者の能力、環境条件、機械の特性など、様々な要因を考慮に入れる必要があります。
選択肢④は、機械の違いを無視して最速の機械だけを基準にしているため、不適切だと言えます。標準作業は、効率化を目指すと同時に、作業者の安全や製品の品質も確保できるものでなければなりません。
感想
これは正解でした。
まあ、そうですよね!
仕事の早い人を標準にされたらたまったもんじゃないわ、という方も多くいらっしゃるかと。
ハイ、ワタクシがそうです!
かといって一番遅い人に合わせるべきでもないってところも難しい。