平成24年度 経営工学部門 IV-35PR含む
問題
IV-35 JIS Q 14040 環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-原則及び枠組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① ライフサイクルとは工程及び計画によって廃棄物の流れから製品を取り出し、更に原材料又は製品の形で用いるために収集され、加工され、再生されることである。
② ライフサイクルアセスメントでは製品システムのライフサイクルを通した入力、出力及び潜在的な環境影響のまとめ、並びに評価を行う。
③ 製品について、ライフサイクルの全体を通してのインプット及びアウトプットのまとめ、並びに定量化を行うライフサイクルアセスメントの段階をライフサイクルインベン トリ分析という。
④ 製品システムについて、製品のライフサイクルの全体を通した潜在的な環境影響の大きさ及び重要度を理解し、かつ、評価することを目的としたライフサイクルアセスメントの段階をライフサイクル影響評価という。
⑤ 単位プロセスが製品システムの一部であることを規定する一連の基準をシステム境界という。
解答
正解は 1 になります。
経営工学における環境マネジメントとライフサイクルアセスメント(LCA)について解説していきます。まず、LCAの基本概念を説明し、その後各選択肢を詳しく見ていきましょう。
ライフサイクルアセスメント(LCA)の基本概念
ライフサイクルアセスメント(LCA)とは、製品やサービスの全ライフサイクル(原材料の調達から製造、使用、廃棄まで)における環境影響を評価する手法です。これにより、製品やプロセスの環境負荷を総合的に把握し、改善策を見出すことができます。
各選択肢の解説
① ライフサイクルとは工程及び計画によって廃棄物の流れから製品を取り出し、更に原材料又は製品の形で用いるために収集され、加工され、再生されることである。
- この説明は不適切です。これはリサイクルの定義に近いものです。
- ライフサイクルは、製品の「ゆりかごから墓場まで」の全過程を指します。つまり、原材料の調達から製造、使用、廃棄までの全段階を含みます。
② ライフサイクルアセスメントでは製品システムのライフサイクルを通した入力、出力及び潜在的な環境影響のまとめ、並びに評価を行う。
- 正しい説明です。LCAは製品の全ライフサイクルにおける環境影響を評価します。
③ 製品について、ライフサイクルの全体を通してのインプット及びアウトプットのまとめ、並びに定量化を行うライフサイクルアセスメントの段階をライフサイクルインベントリ分析という。
- 正しい説明です。ライフサイクルインベントリ分析は、LCAの重要な段階の一つです。
④ 製品システムについて、製品のライフサイクルの全体を通した潜在的な環境影響の大きさ及び重要度を理解し、かつ、評価することを目的としたライフサイクルアセスメントの段階をライフサイクル影響評価という。
- 正しい説明です。ライフサイクル影響評価は、LCAの別の重要な段階です。
⑤ 単位プロセスが製品システムの一部であることを規定する一連の基準をシステム境界という。
- 正しい説明です。システム境界は、LCAを行う際に評価の範囲を定める重要な概念です。
結論
最も不適切なものは①です。ライフサイクルの定義が誤っており、リサイクルの概念と混同しています。
補足:LCAの主要段階
ライフサイクルアセスメント(LCA)│├── 1. 目的と調査範囲の設定│├── 2. ライフサイクルインベントリ分析│├── 3. ライフサイクル影響評価│└── 4. 結果の解釈
この図は、LCAの主要な4段階を示しています。各段階が連携して、製品やサービスの環境影響を総合的に評価します。
以上の説明で、ライフサイクルアセスメントの基本的な概念と問題の解答が理解できたと思います。LCAは持続可能な製品開発や環境マネジメントにおいて重要なツールとなっています。
感想
ライフサイクルアセスメント、よくしらなかったのですが。
1はなんか違うんじゃない?という曖昧な感じで正解しました。
このあたりの評価も今後は大事になってくるのですね。
やっと平成24年度の問題が完了。明日からは平成25年度のものをお届けします。