平成25年度 経営工学部門 Ⅲ-11PR含む

問題

III-11 PTS法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

① PTS法は、作業の映像を記録して詳細に分析を行うビデオ分析の1種である。

② PTS法によって求めた作業時間を標準時間とするとき、レイティングを行う必要がある。

③ WF法は、基本動作、動作距離及び動作時間に影響する変数を考慮して作業時間を求めるPTS法である。

④ MTM法は、指の平均的な動きの所要時間を最小単位1モッド(MOD)とし、他の動作時間はこの整数倍で表すPTS法である。

⑤ PTS法の利点は、機械によってコントロールされる時間や躊躇や判断を必要とする作業にも適用できることである。

解答

正解は 3 になります。

PTS法とは?

PTS法(Predetermined Time Standards)は、人間の作業を細かい基本動作に分解し、それぞれの動作にあらかじめ決められた標準時間を割り当てて、作業全体の時間を算出する方法です。

例えば、「ペンを取って文字を書く」という作業を考えてみましょう。これを基本動作に分解すると:

  1. 手を伸ばす
  2. ペンをつかむ
  3. ペンを持ち上げる
  4. ペンを紙に近づける
  5. 文字を書く
  6. ペンを置く

というような動作に分けられます。PTS法では、これらの各動作に対して、あらかじめ決められた時間を割り当てて、全体の作業時間を計算します。

選択肢の解説

それでは、各選択肢について詳しく見ていきましょう。

① PTS法は、作業の映像を記録して詳細に分析を行うビデオ分析の1種である。

不正解です。PTS法は映像を使用せず、あらかじめ決められた時間値を使用します。ビデオ分析とは別の手法です。

② PTS法によって求めた作業時間を標準時間とするとき、レイティングを行う必要がある。

不正解です。PTS法ではあらかじめ決められた時間値を使用するため、レイティング(作業者の熟練度や作業速度の評価)は必要ありません

③ WF法は、基本動作、動作距離及び動作時間に影響する変数を考慮して作業時間を求めるPTS法である。

正解です。WF法(Work Factor)は、PTS法の一種で、以下の要素を考慮して作業時間を算出します:

  • 基本動作(例:手を伸ばす、つかむ)
  • 動作距離(例:10cm、30cm)
  • 動作時間に影響する変数(例:重さ、精密さ)

④ MTM法は、指の平均的な動きの所要時間を最小単位1モッド(MOD)とし、他の動作時間はこの整数倍で表すPTS法である。

不正解です。これはMODAPTS法の説明であり、MTM法(Methods-Time Measurement)とは異なります。MTM法は10種類の基本動作を用いて分析を行います。

⑤ PTS法の利点は、機械によってコントロールされる時間や躊躇や判断を必要とする作業にも適用できることである。

不正解です。PTS法は主に人間の基本的な動作に適用され、機械制御時間や判断を要する作業には適していません

まとめ

PTS法は、人間の作業を細かい基本動作に分解し、それぞれに標準時間を割り当てて全体の作業時間を算出する方法です。WF法はPTS法の一種で、基本動作、動作距離、そして動作時間に影響する変数を考慮して作業時間を求めます。

この方法を使うと、実際に作業を行わなくても、作業の設計段階で時間を予測できるため、生産計画や作業改善に役立ちます。

感想

PTS法、ちらっとここ↓で出てきています。

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そういえばずっと前にこのこうしゅうを 受けた記憶があります。

多分家を探せば資料も出てくるのでしょうけれど、当時いた会社では「ウチじゃあんまり使わないから」、って講師が言ってたのでさほど重要視してなかったんですよね。

資料、今度帰省したら探してみよう。