問題

III-11 作業管理と作業改善に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 作業管理は、作業方法の分析・改善を行い、対象とする作業によって、後工程の要求に合わせて必要な物を必要なときに必要な量だけ供給するために行う活動であると定義される。

② 作業研究は方法工学ともいい、方法研究と作業測定から構成される。

③ 方法研究は、作業又は製造方法を分析して、標準化、総合化によって作業方法又は製造工程を設計・改善するための手法体系である。

④ 作業改善は、作業研究の手法を用いて1つ又は複数の作業の効率化を図る活動である。

⑤ ECRSの原則とは、工程、作業、動作を対象とした分析に対する改善の指針として用いられ、E (eliminate:なくせないか)、C (combine:一緒にできないか)、R (rearrange:順序変更はできないか)、S (simplify:単純化できないか) による問いかけを行う基本的な考え方を指している。

解答

正解は 1 になります。

問題概要

この問題は「作業管理」と「作業改善」に関する知識を問うものです。

これらの概念は、経営工学の中でも特に生産現場や業務効率化に直結する重要なテーマです。

作業管理や改善の基本的な手法や定義を正しく理解し、それぞれの記述が適切かどうかを判断する必要があります。


各選択肢の解説

① 作業管理の定義について

記述内容:
「作業管理は、作業方法の分析・改善を行い、対象とする作業によって、後工程の要求に合わせて必要な物を必要なときに必要な量だけ供給するために行う活動であると定義される。」

解説:
作業管理とは、現場で行われる作業を効率的かつ効果的に進めるための管理活動を指します。具体的には、作業方法を分析・改善し、生産性向上やコスト削減を目指します。ただし、この記述には誤りがあります。「後工程の要求に合わせて必要な物を必要なときに必要な量だけ供給する」という表現は、主に「ジャストインタイム(JIT)」や「生産管理」の概念であり、作業管理そのものの定義とは異なります。

評価:
この記述は不適切です。作業管理の定義として正確ではありません。


② 作業研究について

記述内容:
「作業研究は方法工学ともいい、方法研究と作業測定から構成される。」

解説:
作業研究(Work Study)は、生産現場で行われる仕事を効率化するための手法です。これは2つの主要な分野から成り立っています:

  1. 方法研究(Method Study): 作業や製造方法を分析し、より良い方法を設計・改善します。
  2. 作業測定(Work Measurement): 作業時間を測定し、標準時間を設定します。

これら2つが組み合わさることで、生産性向上や無駄排除が実現されます。また、「方法工学」という別名も正しいです。

評価:
この記述は正しいです。


③ 方法研究について

記述内容:
「方法研究は、作業又は製造方法を分析して、標準化、総合化によって作業方法又は製造工程を設計・改善するための手法体系である。」

解説:
方法研究は、現場で行われる作業や製造プロセスを詳細に分析し、より効率的で効果的な方法を見つけ出す手法です。このプロセスでは、「標準化」や「総合化」といった手法が重要になります。標準化とは最適な手順や工程を統一することであり、総合化とは複数の工程や動作を統合して簡略化することです。

評価:
この記述も正しいです。


④ 作業改善について

記述内容:
「作業改善は、作業研究の手法を用いて1つ又は複数の作業の効率化を図る活動である。」

解説:
作業改善とは、その名の通り、現場で行われる個々の作業や工程について効率化を図る活動です。この活動では、主に「方法研究」や「作業測定」などの手法が活用されます。例えば、不必要な動きを削減したり、効率的な手順に変更したりすることで、生産性向上が期待できます。

評価:
この記述も正しいです。


⑤ ECRSの原則について

記述内容:
「ECRSの原則とは、工程、作業、動作を対象とした分析に対する改善の指針として用いられ、E (eliminate:なくせないか)、C (combine:一緒にできないか)、R (rearrange:順序変更はできないか)、S (simplify:単純化できないか) による問いかけを行う基本的な考え方を指している。」

解説:
ECRSは改善活動でよく使われる考え方で、「無駄」を削減するための指針となります。それぞれ以下の意味があります:

  • E (Eliminate): 無駄な工程や動きをなくせないか。
  • C (Combine): 複数の工程や動きをまとめられないか。
  • R (Rearrange): 工程や動きの順序を変えられないか。
  • S (Simplify): 手順そのものを簡単にできないか。

これら4つの視点から現場改善が進められるため、この記述は正しいです。


まとめ

問題要点

  • 正解は①。不適切なのは、「後工程への供給」を強調しており、本来の『作業管理』の定義から外れている点。
  • 作業管理と生産管理は関連性があるものの、それぞれ異なる概念であることが重要。
  • 作業研究(方法工学)、方法研究、ECRSなど基本的な概念も押さえておくべき。

感想

このへんは設計屋として、知ってることでしたね〜。

改善活動もしょっちゅうやってましたし。

報奨金頂いたりでいい小遣い稼ぎだったのだけどな(笑)

関連記事
image
平成23年度 経営工学部門 IV-12問題次の作業管理と作業改善に関する用語の説明のうち、最も不適切なものはどれか。①作業管理は、作……

今日の問題、過去問のコレとそっくりでしたね!