問題
III-22 サンプリングに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 母集団とは、考察の対象となる特性を持つすべてのものの集団をいう。
② ワークサンプリングにおいて、ランダム時刻表を用いた時刻の決め方は、統計的サンプリングではない。
③ サンプルとは、ロットから抜き取った1つ以上のアイテムで、母集団についての情報を供給することを意図したものである。
④ サンプリング単位とは、母集団を構成する単位で、1つの場所から一度に取られ、サンプルを構成するものである。
⑤ 抜取検査方式においてサンプルから母集団の合否を判定するとき、不合格であるにもかかわらず合格となる確率を消費者危険と呼ぶ。
解答
正解は 2 になります。
問題概要
この問題は、「サンプリング」という統計的手法に関する知識を問うものです。サンプリングとは、膨大なデータ(母集団)から一部のデータ(サンプル)を抽出し、その特性を分析することで母集団全体の傾向を推測する方法です。例えば、全校生徒の平均身長を知りたいときに、全員を測るのではなくランダムに選んだ数十人の身長を調べて推測する、といった手法がこれにあたります。
各選択肢の解説
① 母集団とは、考察の対象となる特性を持つすべてのものの集団をいう。
- 解説: 「母集団」とは統計学で非常に重要な概念です。例えば、ある製品の品質検査を行う場合、その製品全体(市場に出回っているものすべて)が母集団となります。この定義は正確であり、不適切ではありません。
- 結論: 適切な記述です。
② ワークサンプリングにおいて、ランダム時刻表を用いた時刻の決め方は、統計的サンプリングではない。
- 解説: ワークサンプリングとは、作業現場などで従業員や機械がどのような活動をしているかをランダムなタイミングで観察し、それによって作業時間や稼働率などを推定する手法です。この方法ではランダム時刻表(無作為抽出)を用いて観察時間を決めるため、統計的サンプリングそのものです。しかし、この選択肢では「統計的サンプリングではない」と誤った記述がされています。
- 結論: 不適切な記述です。(正解)
③ サンプルとは、ロットから抜き取った1つ以上のアイテムで、母集団についての情報を供給することを意図したものである。
- 解説: 「サンプル」は母集団から抜き取った一部のデータやアイテムのことです。例えば、大量生産された製品(ロット)からいくつか抜き取り、それらを検査して全体の品質状態を推測します。この記述は定義として正しいものです。
- 結論: 適切な記述です。
④ サンプリング単位とは、母集団を構成する単位で、1つの場所から一度に取られ、サンプルを構成するものである。
- 解説: 「サンプリング単位」とは、母集団内でサンプルとして抽出される最小単位のことです。この説明も正確であり、不適切な点はありません。
- 結論: 適切な記述です。
⑤ 抜取検査方式においてサンプルから母集団の合否を判定するとき、不合格であるにもかかわらず合格となる確率を消費者危険と呼ぶ。
- 解説: 「消費者危険」は統計的品質管理で使われる用語で、不良品が混入しているにもかかわらず合格と判定されるリスク(消費者側が被るリスク)を指します。この説明も正確です。
- 結論: 適切な記述です。
まとめ:問題の要点
この問題では、「サンプリング」に関する基本的な概念や用語について理解しているかが問われています。最も不適切な記述は②であり、「ランダム時刻表による観察」が統計的サンプリングであるにもかかわらず、それを否定している点が誤りでした。
要点整理
- 母集団とサンプル: 母集団は全体、サンプルはその一部。
- ワークサンプリング: ランダム観察によって作業状況などを推定する統計手法。
- 消費者危険: 不良品が合格と判定されるリスク。
- 正解は②: ランダム時刻表による観察は統計的サンプリングであるため、この選択肢は誤り。
感想
ひとのも〜のでもサンプリング、と某グルーヴの歌を口ずさみたくなりますが。
統計学での問題です。
もしかすると、このへん苦手かもしれません・・・。
いや、ワークサンプリングとかはしてたんですよ。
そこそこ経験もあるんで行けるかと思ったら今日のは見事に間違えました。
しっかり解説読み直そう・・・。
この過去問も併せて。