問題
Ⅲー15 QC七つ道具に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
① 何が最も重要なのか、改善のポイントを調べるため、不適合件数などを分類項目別に分け、大きい順に並べた図を、パレート図という。
② データ相互の関係、特性要因の解析、回帰直線のたあめに用いられる図を、散布図という。
③ 原因と結果がどのように関係し影響しているかを表す図を、特性要因図という。
④ 点検、確認、遵守状況のチェックや不適合品数などのデータがどこに集中しているかを表した図を、チェックシートという。
⑤ プロセスの過程で想定外の問題が生じたとき、できるだけ早く目標に向かって軌道修正するために有効な図を、管理図という。

解答
正解は 5 になります。
問題の概要
品質管理(QC:Quality Control)の真髄は、個人の勘や経験に頼らず、客観的な数値データに基づいて現状を把握し、対策を講じる「事実に基づく管理」にあります。
その実効性を担保するのが「QC七つ道具」です。
これら七つの手法は、単独で使われることもありますが、多くの場合、以下のステップで組み合わせて活用されます。
- 現状把握: チェックシートでデータを集め、パレート図で重点課題を絞り込む。
- 要因解析: 特性要因図で原因を洗い出し、散布図やヒストグラムで裏付けを取る。
- 効果確認・維持管理: 対策後の結果を管理図で監視し、再び異常が起きないかを見守る。
本問は、各道具の定義を問う基本的な体裁をとりつつ、特に「管理図」が持つ「予兆管理」の機能を正しく理解できているかを厳しく問うています。
経営工学において、管理図は単なるグラフではなく、工程の「統計的安定状態」を定義するための数学的ツールです。
各選択肢の詳細解説
① パレート図(Pareto Chart)
この記述は適切です。
不適合件数、損失金額、故障回数などのデータを分類し、件数の多い順に並べた棒グラフと、その累積構成比を示す折れ線グラフを組み合わせたものです。
「全体(100%)の不適合のうち、80%は上位20%の項目(原因)によって引き起こされている」というパレートの法則に基づき、限られたリソースをどこに集中投下すべきか(重点管理)を可視化します。
② 散布図(Scatter Diagram)
この記述は適切です。特性(結果)と要因(原因)の2つの変数の関係をプロットしたものです。
- 正の相関: 片方が増えれば、もう片方も増える。
- 負の相関: 片方が増えれば、もう片方は減る。
- 無相関: 両者に関係が見られない。
相関が見られた場合、そこに「回帰直線」を引くことで、要因をどれだけ変化させれば結果がどう変わるかという予測が可能になります。
③ 特性要因図(Cause and Effect Diagram)
この記述は適切です。
特定の品質特性(結果)に対し、どのような要因が関係しているかを「4M(Man:人、Machine:機械、Material:材料、Method:方法)」などの切り口で整理します。
単に思いつく原因を羅列するのではなく、要因の階層構造を「大骨」「中骨」「小骨」と整理していくことで、表面的な事象ではなく「真因(Root Cause)」に迫るための土台となります。
④ チェックシート(Check Sheet)
この記述は適切です。
データ収集を効率化し、記入ミスを防ぐための設計された用紙です。
- 点検用: 実施すべき作業が完了したかを確認する(ミス防止)。
- 調査用: 不良の発生場所や頻度を記録する(分析の基礎)。
このシートに記録された生データが、パレート図やヒストグラムを作成するための「一字」となります。
⑤ 管理図(Control Chart)
この記述は不適切です。
管理図は、プロセスの過程で「想定外の問題(異常原因)」が発生したかどうかを検知するためのものであり、「軌道修正を行うための図」という表現は管理図の本質を外れています。
管理図の主目的は以下の2点です。
- 工程が安定しているかの判定: 統計的な限界線(UCL/LCL)の中にデータが収まっているかを確認する。
- 安定状態の維持(コントロール): 限界線を越えたり、並び方に異常(連や上昇傾向など)が見られたりした際に、「何かいつもと違う(異常原因)」と判断し、アクションを促す。
選択肢にある「目標に向かって軌道修正する」という動的な制御の記述は、むしろPDPC法や進捗管理グラフ、あるいはフィードバック制御の概念に近いものです。
追加解説:管理図の論理構造
経営工学において、管理図は「偶発原因」と「異常原因」を峻別するための唯一の道具です。
- 偶発原因(Common Cause): 現在の技術水準・設備レベルでは避けられない、常に存在する微細なバラツキ。このバラツキのみで構成される工程を「管理状態(安定状態)」と呼びます。
- 異常原因(Assignable Cause): 作業者の交代、材料のロット変更、機械の故障など、特定して取り除くことが可能なバラツキ。
管理図の限界線(3シグマ法)を越えるということは、「確率的に、これは偶然(偶発原因)とは考えにくい。何らかの異常原因が介入したはずだ」と統計的に宣言することを意味します。
この「科学的なアラート」こそが、管理図の真の役割です。
まとめ
- パレート図: 「重要な少数」を見つけ出し、重点改善の方向を示す。
- 散布図: 二種類のデータの間の相関関係を検証する。
- 特性要因図: 原因の構造を可視化し、真因探究のヒントを得る。
- チェックシート: データの収集を定型化・確実化する。
- 管理図: 工程が統計的安定状態にあるか監視し、異常を検知する。
- 不適切のポイント: 管理図は「その場の軌道修正」ではなく「安定の維持と異常の検知」のためのツールである。
感想
QC七つ道具として出てくるのは初めてでは無いでしょうか。
過去問には新QC七つ道具が出ていましたが。

今日は残念ながら不正解でした。
引っかけ問題でもないのになあ・・・。
理解が足りないわ。