問題
能率管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 管理ロス工数は、修理待ち、指示待ち等、管理者責任のロス工数である。
② 作業効率の向上は、作業員のモラール向上や作業ミスの排除等を基礎に進められる。
③ 「方法の効率化=比較時点の標準時間/基準時点の標準時間」という作業方法に関する指標は、作業の合理化の状況を示している。
④ 能率管理により、管理者責任と作業員責任が明確になる。
⑤ 総合能率は、出来高工数に対する就業工数の比率で表される。
解答
正解は 5 になります。
能率管理とは、仕事の効率を上げるための管理方法のことです。
それでは、各選択肢を順番に見ていきましょう。
① 管理ロス工数:
この説明は正しいです。管理ロス工数とは、管理者の責任で発生する無駄な時間のことです。例えば、機械の修理を待っていたり、上司からの指示を待っていたりする時間がこれに当たります。
② 作業効率の向上:
この説明も正確です。作業効率を上げるには、作業員のやる気(モラール)を高めたり、ミスをなくしたりすることが基本となります。
③ 方法の効率化:
この説明も適切です。この式は、作業方法がどれだけ改善されたかを示しています。例えば、以前は1時間かかっていた作業が、新しい方法で30分で済むようになれば、効率化の度合いは2倍(1時間÷30分)となります。
④ 能率管理の効果:
この説明も正しいです。能率管理を行うことで、問題が管理者の責任なのか、作業員の責任なのかが明確になります。
⑤ 総合能率:
ここに誤りがあります。
総合能率は「出来高工数」(完成した作業の工数)を「就業工数」(実際に働いた工数)で割った比率です。この指標が示すのは、どれだけ効率よく作業が行われたかということです。実際には、総合能率は「就業工数に対する出来高工数」の比率で表されるべきです。したがって、この記述は不適切です。
総合能率は、生産活動の効率を総合的に評価する重要な指標です。以下に総合能率について詳しく説明します。
総合能率の定義
総合能率は、負荷工数(実際に作業に充てられる時間)に対して、どれだけ価値を生み出す作業ができたかを示す指標です。
総合能率の計算式
総合能率 = 時間稼働率 × 能率
ここで、
- 時間稼働率 = 正味作業工数 ÷ 負荷工数
- 能率 = 価値工数 ÷ 正味作業工数
具体例
例えば、
- 時間稼働率が90%(0.9)
- 能率が70%(0.7)
の場合、
総合能率 = 0.9 × 0.7 × 100 = 63%
この場合、負荷工数の63%が価値を生み出す作業に使われており、残りの37%がロスとなっていることがわかります。
総合能率の意義
- 効率の総合評価:作業時間の使い方と作業の効率性を総合的に評価できます。
- ロスの可視化:100%から総合能率を引くことで、全体的なロスの割合が明確になります。
- 改善の指針:時間稼働率と能率のどちらに問題があるかを特定し、効果的な改善策を立てられます。
- 経営判断の材料:生産性向上の度合いを数値で把握でき、経営判断の材料となります。
関連する指標
設備の効率を評価する場合は、設備総合効率(OEE)が用いられます。これは時間稼働率、性能稼働率、良品率の3つの要素から構成されます。
総合能率を向上させるには、作業プロセスの見直し、従業員教育、設備の改善など、様々なアプローチが考えられます。継続的にデータを収集・分析し、PDCAサイクルを回すことが重要です。
感想
う~ん、このあたり難しいですね。
しっかりとしたバックグラウンドないと間違っちゃうよなあ・・・。
用語とかで迷ったときはこのブログ見返したらOK!って言うものでありたいです。