問題

Ⅲ-22 下表に示す二元表において、要求品質から品質特性へ、独立配点法による重要度の変換を行うとき、最も適切なのは①~⑤のうちどれか。なお、重要度の高い順に、◎を5点、○を3点、△を1点とする。

① 品質特性は、重要度の高い順に、C、E、B、D、Aとなる。
② 要求品質aを向上させるためには、品質特性A、Dを向上させることが最も効果が高い。
③ 品質特性Cを向上させると、要求品質dが向上する。
④ 品質特性Dの重要度は238となる。
⑤ 品質特性Eの重要度は25となる。

解答

正解は 3 になります。

問題の概要

この問題は、二元表を用いて「要求品質」と「品質特性」の関係を分析し、「独立配点法」による重要度計算を行うものです。

独立配点法とは?

独立配点法では、以下の手順で品質特性ごとの重要度を計算します:

  1. 要求品質の重要度を確認する
    要求品質ごとの重要度は以下のように与えられています:
    • 要求品質a:3点
    • 要求品質b:4点
    • 要求品質c:5点
    • 要求品質d:2点
    • 要求品質e:5点
    • 要求品質f:3点
    • 要求品質g:4点
  2. 要求品質と品質特性の関連度を確認する
    二元表内の記号(◎、○、△)に基づき、それぞれの要求品質がどの品質特性にどれだけ影響するかを確認します。
    • ◎:非常に強い関連(5点)
    • ○:中程度の関連(3点)
    • △:弱い関連(1点)
  3. 重要度を分配して合計する
    各要求品質の重要度を、その関連度に応じて対応する品質特性に分配し、それを合計します。

二元表の詳細な読み取り

以下は、各品質特性と要求品質との関連性です。

品質特性A

  • 関連する要求品質:
    • a(○:3点)
    • c(○:5点)
    • e(◎:5点)
    • f(◎:3点)
    • g(○:4点)

品質特性B

  • 関連する要求品質:
    • a(◎:3点)
    • b(◎:4点)
    • c(△:5点)
    • e(○:5点)

品質特性C

  • 関連する要求品質:
    • d(◎:2点)
    • f(△:3点)
    • g(◎:4点)

品質特性D

  • 関連する要求品質:
    • a(○:3点)
    • c(○:5点)
    • e(◎:5点)
    • g(○:4点)

品質特性E

  • 関連する要求品質:
    • a(◎:3点)
    • b(○:4点)
    • c(◎:5点)

各品質特性の重要度計算

以下では、独立配点法を用いて各品質特性ごとの重要度を計算します。

1. 品質特性A

  • 要求品質a → \(3 \times 3 = 9\)
  • 要求品質c → \(5 \times 3 = 15\)
  • 要求品質e → \(5 \times 5 = 25\)
  • 要求品質f → \(3 \times 5 = 15\)
  • 要求品質g → \(4 \times 3 = 12\)

合計: \(9 + 15 + 25 + 15 + 12 = \mathbf{76}\)

2. 品質特性B

  • 要求品質a → \(3 \times 5 = 15\)
  • 要求品質b → \(4 \times 5 = 20\)
  • 要求品質c → \(5 \times 1 = 5\)
  • 要求品質e → \(5 \times 3 = 15\)

合計: \(15 + 20 + 5 + 15 = \mathbf{55}\)

3. 品質特性C

  • 要求品質d → \(2 \times 5 = 10\)
  • 要求品質f → \(3 \times 1 = 3\)
  • 要求品質g → \(4 \times 5 = 20\)

合計: \(10 + 3 + 20 = \mathbf{33}\)

4. 品質特性D

  • 要求品質a → \(13 \times 3 = 9\)
  • 要求品質c → \(15 \times 3 = 15\)
  • 要求品質e → \(15 \times 5 = 25\)
  • 要求品質g → \(14 \times 3 = 12\)

合計: \(19 + 15 + 25 + 12 = \mathbf{61}\)

5. 品質特性E

  • 要求品質a → \(3 \times 5 = 15\)
  • 要求品質b → \(4 \times 3 = 12\)
  • 要求品質c → \(5 \times 5 = 25\)

合計: \(15 + 12 + 25 = \mathbf{52}\)

計算結果まとめ

品質特性ABCDE
合計重要度7655336152

各選択肢の検証

選択肢①:重要度の高い順に、C、E、B、D、Aとなる。

実際の重要度順序は以下の通りです:

  • A(76)、D(61)、B(55)、E(52)、C(33)

選択肢①は誤りです。

選択肢②:要求品質aを向上させるためには、品質特性A、Dを向上させることが最も効果が高い。

要求品質aと関連するのは「A」「D」です。この選択肢は正しいように見えますが、「最も適切なもの」を問われているため他と比較します。

選択肢③:品質特性Cを向上させると、要求品質dが向上する。

  • 品質特性Cを見ると、「d」に「◎」(非常に強い関連)がついています。
  • 「◎」は非常に強い関連を示すため、この選択肢は正しいです。

選択肢④:品質特性Dの重要度は238となる。

計算結果ではDの重要度は61です。「238」という値は明らかに誤りです。

選択肢⑤:品質特性Eの重要度は25となる。

計算結果ではEの重要度は52です。「25」という値は誤りです。

正解とその理由

正解はです。他にも②が正しいように見えますが、この問題では「最も適切なもの」を問われています。③は、「具体的な改善対象」と「その効果」を直接的かつ明確に示しており、「最も適切」と判断されます。

問題全体のまとめ

  1. 二元表分析と独立配点法によって、各要素間の影響関係が明確になります。
  2. 本問題では、「全体的な分析結果」よりも「個別関係」に焦点を当てた選択肢③が採用されました。
  3. 技術士試験では、このように「具体的かつ直接的な内容」が高く評価されます。

感想

この手の問題は最初にしっかり計算しなきゃですね。

で、表に書き込んでおいたら選択肢の検討の際に役立ちます。

二元表はここ↓で出ていましたね。

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