令和2年度 経営工学部門 Ⅲ-22

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問題

Ⅲ-22 プロジェクト管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、JIS Q 21500は、プロジェクトマネジメントの手引きのJIS規格、JIS Q 21500:2018を指している。

① JIS Q 21500においてプロジェクトは、およそ永続性のあるチームによって、継続的かつ反復的なプロセスを通じて遂行し、組織の維持に焦点を当てていると説明されている。

② JIS Q 21500においてクリティカルパスとは、プロジェクト又はフェーズにとっての最速完了日を決定する一連の活動であると説明されている。

③ JIS Q 21500においてプロジェクトマネジメントとは、方法、ツール、技法及びコンピテンシを、あるプロジェクトに適用することであると説明されている。

④ JIS Q 21500では、プロジェクトライフサイクルの各フェーズでは、既定の成果物をもつことが望ましいと説明されている。

⑤ JIS Q 21500においてプロジェクトの目標の達成には、既定の要求事項に適合する成果物の提示を必要とすると説明されている。


解答

正解は 1 になります。

問題の概要

プロジェクトマネジメントの世界標準である PMBOK(Project Management Body of Knowledge) は、時代の変化に合わせて進化を続けています。
これに対し、JIS Q 21500 は、PMBOKの第4版から第5版にかけて確立された「プロセスベース」のマネジメント手法を、国際標準(ISO 21500)として凝縮・採択したものです。

経営工学の視点では、プロジェクトマネジメントは「一回限りの非定常な活動」を、いかに再現性のある科学的手法で成功に導くかという課題に直面します。
本問は、その活動の定義そのものを問うており、プロフェッショナルとしての「基本動作」を確認する非常に重要な設問です。


各選択肢の詳細解説(PMBOK第7版の視点を含む深掘り)

① JIS Q 21500においてプロジェクトは、およそ永続性のあるチームによって、継続的かつ反復的なプロセスを通じて遂行し、組織の維持に焦点を受けていると説明されている。

この記述が不適切(正解)です。
PMBOKおよびJIS Q 21500の根幹を揺るがす誤りです。

  • プロジェクトの定義: 「独自の産品、サービス、所産を生成するために実施される一時的な(有期性のある)業務」です。
  • オペレーション(定常業務)の定義: 本肢の記述はこちらに該当します。
    組織を存続させるための「ルーチンワーク」であり、不確実性を排除し、効率化と維持を目的とします。
    経営工学の試験では、この「変化(プロジェクト)」と「維持(オペレーション)」の対比を突く問題が頻出します。

② JIS Q 21500においてクリティカルパスとは、プロジェクト又はフェーズにとっての最速完了日を決定する一連の活動であると説明されている。

この記述は適切です。
PMBOKにおける「スケジュール・マネジメント」の核心です。

  • 意味: ネットワーク図において、開始から終了までで「最も長い期間を要する経路」です。
  • 重要性: この経路上の活動には「トータル・フロート(余裕時間)」がゼロです。
    1分1秒の遅れがプロジェクト全体の遅延に直結するため、マネジャーが最もリソースを集中すべき対象となります。
    これが決まることで、理論上の「最速完了日」が確定します。

③ JIS Q 21500においてプロジェクトマネジメントとは、方法、ツール、技法及びコンピテンシを、あるプロジェクトに適用することであると説明されている。

この記述は適切です。
現代のマネジメントでは、単なる「管理(Administration)」ではなく、以下の統合が求められます。

  • ツール・技法: WBS、EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)、リスク登録簿など。
  • コンピテンシ: チームを動かすリーダーシップ、交渉力、倫理性。
    JIS Q 21500は、これらを組み合わせて「価値」を最大化する活動としてプロジェクトマネジメントを定義しています。

④ JIS Q 21500では、プロジェクトライフサイクルの各フェーズでは、既定の成果物をもつことが望ましいと説明されている。

この記述は適切です。
プロジェクトを管理可能な単位に分割したものが「フェーズ」です。

  • フェーズ・ゲート(検門): 各フェーズの終了時に、あらかじめ定義された「成果物(仕様書、設計図、プロトタイプ等)」が揃っているかを確認します。
    これにより、サンクコスト(埋没費用)を最小限に抑え、失敗する可能性のあるプロジェクトを早期に中止(キル)する判断が可能になります。

⑤ JIS Q 21500においてプロジェクトの目標の達成には、既定の要求事項に適合する成果物の提示を必要とすると説明されている。

この記述は適切です。
PMBOKにおける「品質マネジメント」の考え方です。

  • 要求事項への適合: 顧客が何を求めているか(Scope)を定義し、それに合致していることが「品質が良い」状態です。
  • 提示の必要性: 成果物は単に作るだけでなく、ステークホルダーに対して「要求を満たしていること」を証明(デモンストレーションや検査)し、検収を受ける必要があります。

追加解説:経営工学におけるPMBOK/JISの活用

技術士(経営工学部門)を目指す上で、プロジェクトマネジメントは単なる知識ではなく、「現場の変革を支えるOS」です。

  1. WBS(作業分解構造)の活用:
    IE(インダストリアル・エンジニアリング)の工程分析と同様に、大きな目的を小さな作業単位に分解し、漏れなく重複なく(MECE)管理することで、不確実性をコントロールします。
  2. リスク・マネジメント:
    定常業務と異なり、プロジェクトは「初めてのこと」に挑戦するためリスクが伴います。
    JIS Q 21500では、リスクを「マイナスの影響」だけでなく「プラスの機会」としても捉え、戦略的に活用することを推奨しています。
  3. ステークホルダー・マネジメント:
    部門横断的なプロジェクトでは、利害関係の調整が成否を分けます。
    これは、工場全体の最適化を図る経営工学の「全体最適」の思想と合致するものです。

まとめ

  • JIS Q 21500 は、PMBOKの流れを汲むプロジェクトマネジメントの公式な「共通言語」である。
  • プロジェクトの最大の特徴は 「有期性」「独自性」 であり、定常業務とは明確に区別される。
  • クリティカルパス の管理は、スケジュール遅延を防ぐための最優先事項である。
  • 成功の定義は、既定の要求事項 を満たした成果物を納品することにある。

感想

現在プロジェクトマネージャー職をやってるのでここは間違えるわけにはいかない!

まあ、簡単だったのでもちろん正解でした。

でもJIS Q 21500が出てくるのは初めてかも。よって、PMBOOKとの関係性も解説に入れておきました。

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過去問ではこれに近いですね。

プロジェクトには終わりがあるんですよね~。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
同じ道を進む方や、資格取得を目指す方のお役に立てる情報をお届けします。

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