問題
Ⅲ-29 VEにおける価値に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① 価値の概念は、コストを機能で除した値で表現される。
② 使用価値には、ブランド力や社会的評価も含まれる。
③ 魅力価値は、製品やサービスがもたらす有用性や効用のことである。
④ VEでは、一般に生産者にとっての価値を分析の対象としている。
⑤ VEには、価値の高い製品やサービスを創造するだけでなく、既存の製品やサービスの価値を改善する活動もある。

解答
正解は 5 になります。
問題の概要
バリューエンジニアリング(Value Engineering、以下VE)は、製品やサービスの「価値」を、それが果たす「機能」とそれにかかる「コスト」との関係で捉え、最小の総コストで必要な機能を確実に達成するための組織的な手法です。
経営工学や生産管理において、VEにおける「価値(Value)」は単なる価格や原価とは異なり、顧客や使用者が求める「機能(Function)」を得るために、どれだけの「コスト(Cost)」を支払うかという相対的な評価尺度として定義されます。
VEの目的は、顧客満足度を向上させつつ、企業全体の効率化や収益性向上を図ることにあります。
VE活動は、製品の企画・開発・設計段階で実施される予防的なアプローチだけでなく、すでに生産されている既存の製品や運用中のサービスに対して改善を図るアプローチも含まれます。
さらに、価値の種類(使用価値、貴重価値、交換価値など)を正確に分類し、誰にとっての価値を分析しているのかを正しく把握することが、効果的なVEの実践において不可欠となります。
各選択肢の詳細解説
① 価値の概念は、コストを機能で除した値で表現される。
不適切です。
VEにおける価値 $V$(Value)の基本的な概念は、機能 $F$(Function)をコスト $C$(Cost)で除した値として表されます。数式で表現すると以下の通りとなります。
$$V = \frac{F}{C}$$
ここで、それぞれの記号は以下の意味を持ちます。
- $V$:価値(Value)
- $F$:機能(Function)
- $C$:コスト(Cost)
記述にある「コストを機能で除した値」は $\frac{C}{F}$ となり、これは価値の逆数を表すため誤りとなります。
価値を向上させるためには、コスト $C$ を下げながら機能 $F$ を維持・向上させるか、あるいはコスト $C$ の増加以上に機能 $F$ を大幅に向上させる必要があります。
② 使用価値には、ブランド力や社会的評価も含まれる。
不適切です。
VEにおいて価値は目的や用途に応じて分類されます。
「使用価値(Use Value)」とは、製品やサービスがその本来の目的を果たすために必要とされる有用性、性能、品質、技術的な働きなどを指します。
一方、所有すること自体による満足感、ブランド力、デザイン性、社会的評価、ステータスなどに起因する価値は「貴重価値(Prestige Value)」に分類されます。
したがって、使用価値にブランド力や社会的評価が含まれるとする記述は誤りです。
③ 魅力価値は、製品やサービスがもたらす有用性や効用のことである。
不適切です。
製品やサービスが本来果たすべき目的や、実用的な「有用性や効用」そのものは「使用価値」に該当します。
「魅力価値」は、製品が存在することによって顧客に特別な感動や魅力を与える価値や、他社製品との差別化要素となる価値を指します。
顧客が当然備わっていると考える基本機能(有用性や効用)とは区別されるため、この記述は不適切です。
④ VEでは、一般に生産者にとっての価値を分析の対象としている。
不適切です。
VEで分析の対象とする価値は、原則として製品やサービスを利用する「使用者(顧客・ユーザー)」にとっての価値です。
生産者側の視点のみでコスト削減を追求すると、必要な機能や品質まで削ぎ落としてしまい、顧客満足度を損なう恐れがあります。
そのため、VEでは「顧客が求める機能(必要機能)は何か」を起点とし、使用者にとっての価値を向上させることを分析の最優先目的としています。
⑤ VEには、価値の高い製品やサービスを創造するだけでなく、既存の製品やサービスの価値を改善する活動もある。
適切です。
VEの適用領域には、主に以下の2つのアプローチが存在します。
- 開発VE(企画・設計段階VE):新製品の開発やサービスの企画段階において、最初から価値の高い製品やサービスを創造・設計する活動。
- 改善VE(製造・運用段階VE):すでに生産・提供されている既存の製品やサービスに対して、機能の維持向上やコスト低下を図り、価値を再改善する活動。
したがって、新製品の創造だけでなく既存製品の価値を改善する活動も含まれるとする本記述は非常に適切です。
追加解説
VEにおける「価値($V$)」を高めるための標準的な4つのパターンについて整理しておくと、実務や各種試験での理解が深まります。
- コスト低減型:機能 $F$ を維持(また向上)したまま、コスト $C$ を下げる($F \rightarrow, C \downarrow \Rightarrow V \uparrow$)。
- 機能向上型:コスト $C$ を維持(または低下)したまま、機能 $F$ を上げる($F \uparrow, C \rightarrow \Rightarrow V \uparrow$)。
- 強気型(高付加価値型):コスト $C$ は少し上がるが、それを大幅に上回る機能 $F$ を付加する($F \uparrow\uparrow, C \uparrow \Rightarrow V \uparrow$)。
- 収縮型:機能 $F$ を多少下げるが、それを大幅に上回るレベルでコスト $C$ を大きく削る($F \downarrow, C \downarrow\downarrow \Rightarrow V \uparrow$)。
VEを実践する際は、どのパターンを適用して顧客価値を最大化するかを論理的に判断することが重要となります。
まとめ
- VEの価値の公式:価値 $V$ は機能 $F$ をコスト $C$ で除した値($V = \frac{F}{C}$)で定義される。
- 価値の分類:技術的効用は使用価値、ブランドや社会的評価は貴重価値に分類される。
- 分析の対象:生産者視点ではなく、使用者(顧客)にとっての価値を向上させることが基本である。
- VEの適用領域:新製品を創出する開発VEだけでなく、既存製品を良くする改善VEも存在する。
感想
本日は正解でした。
最初不適切なものを選ぶのかと思って問題文読んでいってたら。
3問目あたりであれ?ずっと違うじゃんってなり。
あ、正しいのを選ぶのかと気づいた次第。

過去問やその解説にVE自体がという語句はたくさん登場しますがVE自体が主役の問題って思ったより少ない。
今後の動きにも注目です。