令和2年度 経営工学部門 Ⅲ-28

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問題

Ⅲ-28 ある投資案における初期投資 P(現在価値)の 5 年後の価値(終価)に関する計算式として、最も適切なものはどれか、なお、資本の利率は i とし、複利で計算するものとする、

① P+5×i

② P×(1+4×i)

③ P×(1+5×i)

④ P×(1+i)⁴

⑤ P×(1+i)⁵


解答

正解は 5 になります。

問題の概要

設備投資の意思決定や企業における投資案の評価において、極めて重要な基本概念となるのが「貨幣の時間的価値(Time Value of Money: TVM)」です。

今日の1円と将来の1円は同等ではなく、将来受け取る金銭には利息や運用益が生じるため、時間経過とともにその価値は変動します。

生産管理や経済性工学(Engineering Economy)において、投資案から生じる将来のキャッシュフローや初期投資額を適切に評価・比較するためには、異なる時点における貨幣価値を同一の時点に揃えて換算する手法が不可欠です。

投資額の評価における基本的な換算には、現在の価値である「現在価値(Present Value: PV)」と、一定期間運用した後の将来の価値である「将来価値」または「終価(Future Value: FV)」があります。

運用に伴う利息の計算方法には、元本のみに対して利息が付与される「単利(Simple Interest)」と、発生した利息を次期の元本に組み入れて利息を計算する「複利(Compound Interest)」の2種類が存在します。
特に長期的な設備投資計画や事業評価においては、利息が利息を生む効果を正しく反映する「複利計算」を用いることが標準的な実務上の手法とされています。

各選択肢の詳細解説

① P+5×i

不適切です。
この式は、初期投資額 $P$ に利率 $i$ の5倍という定数をそのまま加算した計算式です。
利息の金額は本来、初期投資額(元本) $P$ と利率 $i$ の積である $P \times i$ によって導き出されるべきですが、この式では元本 $P$ が利率に掛け合わされておらず、数学的にも経済的にも意味を成さない不完全な式となっています。

② P×(1+4×i)

不適切です。
この式は、単利計算(Simple Interest)における4年後の価値を表す式です。
単利計算における $n$ 年後の将来価値 $FV$ を求める公式は以下の通りです。
$$FV = P \times (1 + n \times i)$$
ここで、各変数の定義は以下の通りです。

  • $P$: 初期投資額(現在価値)
  • $i$: 資本の利率(割引率・利息率)
  • $n$: 経過年数(運用期間)

本選択肢は単利計算で期間を $n = 4$ 年とした場合の式 $P \times (1 + 4 \times i)$ であり、問題文で指定されている「複利で計算」および「5年後」という条件の両方に反しているため、誤りです。

③ P×(1+5×i)

不適切です。
この式は、単利計算(Simple Interest)における5年後の将来価値を表す計算式です。
期間 $n = 5$ 年における単利の利息額は $P \times 5 \times i$ となり、元本 $P$ を足し合わせると $P + P \times 5 \times i = P \times (1 + 5 \times i)$ と算出されます。
期間の条件(5年後)には対応していますが、利息の計算方法が「単利」となっているため、問題文で提示されている「複利で計算する」という条件を満たしておらず、正解とは言えません。

④ P×(1+i)⁴

不適切です。
この式は、複利計算(Compound Interest)における4年後の将来価値を表す計算式です。
複利計算における $n$ 年後の将来価値 $FV$ を求める公式は以下の通りです。
$$FV = P \times (1 + i)^n$$
ここで、各変数の定義は以下の通りです。

  • $P$: 初期投資額(現在価値)
  • $i$: 資本の利率
  • $n$: 経過年数(運用期間)

本選択肢は複利計算の公式を正しく用いていますが、指数部が $4$ となっており、4年後の終価を計算する式になっています。問題文で求められているのは「5年後の価値(終価)」であるため、期間の条件と一致せず不適切です。

⑤ P×(1+i)⁵

適切です。
複利計算(Compound Interest)における将来価値(終価) $FV$ は、毎期の利息が翌期の元本に繰り入れられて再運用される関係から、以下の漸次的な計算によって導出されます。

  • 1年後の価値: $P \times (1 + i)$
  • 2年後の価値: $P \times (1 + i) \times (1 + i) = P \times (1 + i)^2$
  • 3年後の価値: $P \times (1 + i)^2 \times (1 + i) = P \times (1 + i)^3$
  • $n$年後の価値: $P \times (1 + i)^n$

問題文の条件より、初期投資(現在価値)は $P$、資本の利率は $i$、経過期間は $n = 5$ 年、計算方法は「複利」であるため、公式に数値をあてはめると以下の計算式が得られます。
$$FV = P \times (1 + i)^5$$

この $(1 + i)^n$ は「複利終価係数(Single Payment Compound Amount Factor)」と呼ばれ、現在価値から将来価値を算出する際の基礎的な乗数となります。

したがって、選択肢⑤が最も適切です。

追加解説

経済性工学や設備投資計画の実務では、本問で扱った「将来価値(終価)」の算出だけでなく、将来発生するキャッシュフローを現在の価値に割り戻す「現在価値(Present Value)」の計算も非常に重要です。

将来価値 $FV$ から現在価値 $P$ を逆算する計算式は、以下のように変形されます。

$$P = \frac{FV}{(1 + i)^n} = FV \times (1 + i)^{-n}$$

ここで、$\frac{1}{(1 + i)^n}$ は「複利現価係数(Single Payment Present Value Factor)」と呼ばれます。

実務における主な投資評価手法には、以下のようなものがあります。

  • NPV法(Net Present Value: 正味現在価値法): 投資によって得られる将来のキャッシュフローの現在価値合計から、初期投資額を差し引いた値(NPV)を求め、NPVがプラスであれば投資を採用する手法です。
  • IRR法(Internal Rate of Return: 内部利益率法): NPVがちょうどゼロになるような割引率(内部利益率)を求め、企業のハードル・レート(目標調達資本コスト)と比較して投資可否を判定する手法です。
  • PP法(Payback Period: 回収期間法): 投資資金が何年で回収できるかを計算し、設定した回収基準期間と比較評価する手法です。

これらの投資評価を行う前提として、時間的価値を考慮した複利計算のメカニズムを理解しておくことが基礎原則となります。

まとめ

  • 貨幣の時間的価値(TVM)に基づき、現在の金銭と将来の金銭の価値を換算・評価します。
  • 複利計算では、発生した利息が元本に組み込まれて再運用されるため、時間経過とともに指数関数的に価値が増大します。
  • 初期投資 $P$、利率 $i$ における $n$ 年後の将来価値(終価)は $P \times (1 + i)^n$ の公式で求められます。
  • 5年後の終価を求める計算式は $P \times (1 + i)^5$ となります。
  • 経済性工学や設備投資評価(NPV法IRR法など)において、この複利計算の原理が広く応用されます。

感想

複利の話。未だによくわかっていないのですが正解でした。

うっすらと式だけ記憶にあったようで・

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こういうレベルではいかんですね。

そのため、解説文も厚めにしてみました。

次はどうだろう・・・。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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