平成23年度 経営工学部門 IV-24PR含む
問題
待ち行列モデルに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 単一の待ち行列モデルは、客の到着、窓口における客のサービス、サービスを待つ客の待ち行列などから構成され、平均待ち時間などにより混雑の程度を評価するためのモデルである。
② 待ち行列モデル \(M/M/c\)とは、ポアソン到着、指数サービス、窓口がc個の待ち行列モデルを指し、客は正規分布に従う間隔で到着し、指数分布に従う時間サービスを受けて退去する。
③ 待ち時間分布とは、客がシステムに到着してからサービスを受け始めるまでの時間の分布であり、客が到着してからシステムを去るまでの時間の分布ではない。
④ 待ち行列長とは、待ち行列モデルにおいて、待ち行列を構成している客の数であり、リトルの公式によって平均待ち行列長から平均待ち時間が計算できる。
⑤ 待ち行列システムが長時間にわたって稼働するとき、システム内の客数が発散することのない場合に安定であるといい、待ち行列システムを確率過程でモデル化すると、待ち行列の安定性は状態の確率分布がすべての時間にわたってタイト(tight)であることに等しいといえる。
解答
正解は 2 になります。
待ち行列モデルに関する問題について解説します。
待ち行列モデルは、サービスを受けるために客が並ぶ状況を分析するための数学的なモデルです。これによって、どれくらい待つ必要があるか、どれくらいの混雑が予想されるかを評価します。
それでは、各選択肢について見ていきましょう。
① 単一の待ち行列モデル
これは一般的な説明で、客の到着、サービスの提供、待ち時間などを分析するための基本的なモデルです。
② 待ち行列モデル \( M/M/1/c \)
この記述には誤りがあります。\( M/M/1/c \)モデルでは、到着とサービスがポアソン分布に従い、1つの窓口でサービスが提供され、最大 \( c \) 人までしか並べないという設定です。しかし、この選択肢では説明が不正確です。
③ 待ち時間分布
これは、客がシステムに到着してからサービスを受け始めるまでの時間の分布であり、その説明は適切です。
④ 待ち行列長
リトルの公式を用いて平均待ち行列長や平均待ち時間を計算できるという説明は正しいです。リトルの公式は、平均到着率と平均滞在時間から平均人数を求める公式です。
⑤ 待ち行列システムの安定性
システムが時間とともに安定するかどうかに関する説明であり、適切な条件下でモデル化できるという点は正しいです。
図表による解説
以下は、リトルの公式を用いた簡単な例です:
$$
L = \lambda \times W
$$
- \( L \): システム内の平均人数
- \( \lambda \): 平均到着率(単位時間あたりの到着数)
- \( W \): システム内で過ごす平均時間
例えば、1時間に10人が到着し、1人あたり平均30分(0.5時間)システム内にいる場合:
$$
L = 10 \times 0.5 = 5
$$
このようにして、システム内の平均人数を計算できます。
したがって、この問題の正解は②です。説明が不正確であるため、不適切とされています。
感想
うわっ!
学生の頃、待ち行列の科目は試験で100点とったのですよ。
それ以来待ち行列、得意と思っていましたがさっぱりわからない・・・・。
これは再履修必要だ!!