平成24年度 経営工学部門 IV-5PR含む
問題
IV-5 対象製品の生産状況を工程分析で検討した結果に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
① 検査工程が多いので、それぞれの検査結果を分析し、合格率が99.9%以上の検査工程は省略可能とした。
② 観測した作業方法は作業標準と異なっていたが、観測した方法に従って集計した。
③ 合計時間に占める運搬工程の比率が大きいので、運搬方法と時間の関係を再調査した。
④ 手待ち時間が長い工程があるので、流れをよくするために前工程の一部の作業を後工程で受け持つ案を作成した。
⑤ 合計時間に占める加工時間の比率が小さいので、加工工程以外の要素を重点的に再観測した。
解答
正解は 1 になります。
問題の概要
この問題は、工程分析の結果に基づく生産状況の改善策について、最も不適切なものを選ぶものです。
正解の解説
正解は①「検査工程が多いので、それぞれの検査結果を分析し、合格率が99.9%以上の検査工程は省略可能とした。」です。
この選択肢が最も不適切である理由を詳しく説明します:
- 品質管理の重要性:
製造工程において、品質管理は非常に重要です。99.9%という高い合格率であっても、0.1%の不良品が出る可能性があります。 - 検査の役割:
検査工程は単に不良品を見つけるだけでなく、製造プロセスの安定性を確認する役割も果たしています。 - 継続的な品質保証:
高い合格率を維持するためには、継続的な検査が必要です。検査を省略することで、品質の変動を見逃す可能性があります。 - 顧客満足度への影響:
わずかな不良品でも顧客の信頼を損なう可能性があります。検査を省略することで、このリスクが高まります。 - 長期的な視点:
短期的なコスト削減よりも、長期的な品質維持の方が重要です。検査の省略は短期的な効率化に見えても、長期的には問題を引き起こす可能性があります。
その他の選択肢について
②③④⑤の選択肢は、いずれも工程分析の結果に基づいて適切な改善策を検討しているため、正しい対応と言えます。
- ②は実際の作業方法を正確に把握し、分析しています。
- ③は運搬時間の削減可能性を探っています。
- ④は手待ち時間を減らすための工夫をしています。
- ⑤は非加工時間の削減に注目しています。
これらはいずれも、生産効率の向上や無駄の削減につながる適切な分析と対策です。
結論
工程分析の目的は、生産性の向上と同時に、品質の維持・向上も含まれます。検査工程は品質保証の重要な要素であり、高い合格率だけを理由に安易に省略すべきではありません。むしろ、高い合格率を維持できている要因を分析し、その知見を他の工程にも適用することで、全体的な品質向上を図ることが望ましいアプローチです。
経営工学の観点からは、効率化と品質保証のバランスを取ることが重要です。単純な工程の削減ではなく、各工程の意義を十分に理解した上で改善策を検討することが求められます。
感想
これはなんとなく、だけど①だなって思いました。
解説読むと納得。
②~⑤はホント大事ですねえ。
常にこの改善を行っている方々、大変そうです。
凄く尊敬します。
あ、おまえもちゃんとやれよって声がどこからともなく聞こえてきそう・・・・。