平成24年度 経営工学部門 IV-23PR含む
問題
IV-23 ジョブ J1 ~ J7 が条件 a ~ c で加工される。以下に示すジョブの納期とガントチャートに関する記述のうち、最も不適切なものはどれか。
【条件】
a. どのジョブも工程 M1 で加工した後、工程 M2 の加工を行い完成する。
b. 1つの工程では同時に2つの加工を行うことができない。
c. どのジョブも時刻0で開始可能である。
ジョブ | 納期 |
J1 | 20 |
J2 | 30 |
J3 | 23 |
J4 | 45 |
J5 | 13 |
J6 | 35 |
J7 | 17 |
① 平均滞留時間はおよそ26である。
② 納期遅れの和は11である。
③ 最大納期遅れは5である。
④ 納期遅れの発生するジョブ数は3である。
⑤ 工程 M1 で加工が完了し、工程 M2 で加工を開始するまでのジョブの待ち時間の和は9である。
解答
正解は 5 になります。
この問題は、ジョブスケジューリングに関する問題です。ジョブスケジューリングとは、複数の作業(ジョブ)をどの順番で処理するかを決めることを指し、特に工場などで効率的に作業を進めるための重要な技術です。
問題の概要
- 7つのジョブ J1 から J7 までがあり、それぞれ「工程 M1 」と「工程 M2 」で処理されます。
- 各ジョブには「納期」が設定されています。納期とは、そのジョブが完了すべき最終期限のことです。
- ガントチャートは、それぞれのジョブがどの時間にどの工程で処理されているかを示しています。
条件
- a. どのジョブも「工程 M1 」で加工した後、「工程 M2 」で加工を行い完了する。
- b. 1つの工程では同時に2つの加工を行うことができない。
- c. どのジョブも時刻0で開始可能である。
各選択肢について
選択肢1: 平均滞留時間はおよそ26である。
- 滞留時間とは、各ジョブが開始してから完了するまでにかかった時間です。ガントチャートから各ジョブの滞留時間を計算し、その平均を求めます。
- M2の作業時間に着目します。
- J1: 開始時刻は18、終了時刻は25 → 滞留時間 = 25 – 0 = 25
- J2: 開始時刻は28、終了時刻は31 → 滞留時間 = 31 – 0 = 31
- J3: 開始時刻は25、終了時刻は28 → 滞留時間 = 28 – 0 = 28
- J4: 開始時刻は32、終了時刻は41 → 滞留時間 = 41 – 0 = 41
- J5: 開始時刻は0、終了時刻は9 → 滞留時間 = 9 – 0 = 9
- J6: 開始時刻は31、終了時刻は32 → 滞留時間 = 32 – 0 = 32
- J7: 開始時刻は12、終了時刻は17 → 滞留時間 = 17 – 0 = 17
これらを合計すると、
$$25 + 31 + 28 + 41 + 9 + 32 + 17 = 183 $$
平均滞留時間は、
$$ \frac{183}{7} \approx 26.14 $$
となり、この選択肢は正しいと言えます。
選択肢2: 納期遅れの和は11である。
- 納期遅れとは、ジョブがその納期よりも遅れて完了した場合、その遅れた時間を指します。
各ジョブについて計算します。
ジョブ | 納期 | 完了時刻 | 遅れ |
---|---|---|---|
J1 | 20 | 25 | +5 |
J2 | 30 | 31 | +1 |
J3 | 23 | 28 | +5 |
J4 | 45 | 41 | -4 |
J5 | 13 | 9 | -4 |
J6 | 35 | 32 | -3 |
J7 | 17 | 17 | 0 |
これらの遅れた時間を合計すると、
$$5 + 1 + 5 = 11 $$
となり、この選択肢も正しいです。
選択肢3: 最大納期遅延は5である。
- 最大納期遅延とは、最も大きな納期遅れのことです。上記表から最大の遅れは 5(J1,J3)です。この選択肢も正しいです。
選択肢4: 納期遅れの発生するジョブ数は3である。
- 上記表を見ると、J1、J2、J3が納期遅れを持っています。つまり、この選択肢も正しいです。
選択肢5: 工程M1が完了して、工程 M2の加工を開始するまでのジョブの待ち時間の和は9である。
- この選択肢が不適切な理由について説明します。まず、「待ち時間」とは、工程 M1 が終わってから次に工程 M2 に移るまでにどれだけ待ったかという時間です。各ジョブについて確認します。
- J5、J7、J1:工程M1 が終了した後すぐに工程M2 に移っているので待ち時間なし
- J3:工程M1 が23で終了した後25から工程M2 開始→2時間の待ち時間
- J2:工程M1 が24で終了した後28から工程M2 開始→4時間の待ち時間
- J6:工程M1 が28で終了した後31から工程M2 開始→3時間の待ち時間
- J4:工程M1 が30で終了した後32から工程M2 開始→2時間の待ち時間
待ち時間の総和は11となります。
よって「待ち時間の和が9」という記述は不適切です。このため、この選択肢が正解となります。
結論
この問題では、選択肢5「工程 M1 が完了して、工程 M2 の加工を開始するまでのジョブの待ち時間の和は9である」が最も不適切な記述となります。他の選択肢はいずれも条件や計算結果と一致しているため、この選択肢が正解となります。
感想
問題では工程M1、M2でしたが解説のところではM1、M2としています。
これ、文字装飾がうまくいかなかったからです。ご容赦ください。
それにしても。
今までの中で、この問題が一番苦労しました。
どうしてこうなるの?とか理解していくのにかなり時間がかかりましたね。
もちろん文字装飾も一番多かった!
しかしながらこの問題、解いてみると非常にシンプルでした。
引っかかりやすいのは滞留時間ですね。
何度もこの問題、見直さなければ。