問題

III-13 進捗管理(進度管理)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 進捗管理とは、仕事の進行状況を把握し、日々の仕事の進み具合を調整する活動といえる。

② 作業を計画より先行して進行するように進捗管理を実施すれば、仕掛品や在庫品を削減することが期待できる。

③ 進度を管理するためには、作業の手配や準備から作業完了に至るまでの作業の流れを一貫して把握しなければならない。

④ 連続生産において、生産数量の進度を把握するためには流動数曲線が利用できる。

⑤ 進捗管理は、進度分析、進度判定、進度対策、効果確認の手順によって実施される。

解答

正解は 2 になります。

問題概要

この問題は「進捗管理(進度管理)」に関する知識を問うものです。

進捗管理とは、生産や作業の進行状況を把握し、計画通りに進むよう調整する活動を指します。

生産性向上や納期遵守のために欠かせない管理手法であり、技術士試験でも頻出のテーマです。


各選択肢の解説

① 進捗管理の基本的な定義

記述内容:
「進捗管理とは、仕事の進行状況を把握し、日々の仕事の進み具合を調整する活動といえる。」

解説:
進捗管理は、生産現場やプロジェクトで計画通りに作業が進んでいるかを確認し、必要に応じて調整する活動です。

例えば、製造ラインで予定より遅れている場合には、人員や設備を増やして遅れを取り戻すといった対応が含まれます。

この記述は、進捗管理の基本的な役割を正確に説明しています。

評価:
この記述は正しいです。


② 進捗管理と仕掛品・在庫品削減

記述内容:
「作業を計画より先行して進行するように進捗管理を実施すれば、仕掛品や在庫品を削減することが期待できる。」

解説:
この記述には誤りがあります。

計画よりも作業を先行させると、その分だけ仕掛品(製造途中の製品)や在庫品が増える可能性が高くなります。

例えば、後工程が追いついていない状態で前工程が作業を先行すると、その間に仕掛品が溜まってしまいます

また、過剰生産による在庫増加も懸念されます。

仕掛品や在庫品を削減するためには、「ジャストインタイム(JIT)」などの適正な生産計画と、それに基づいた進捗管理が重要です。

評価:
この記述は不適切です。


③ 作業全体の流れの把握

記述内容:
「進度を管理するためには、作業の手配や準備から作業完了に至るまでの作業の流れを一貫して把握しなければならない。」

解説:
進捗管理では、作業全体の流れを把握することが不可欠です。

手配や準備段階で問題が発生すると、その後の工程にも影響が及びます。

そのため、作業開始から完了まで一貫して監視・管理することで、計画通りの進行が可能になります。

この記述は正しいです。

例として、生産ラインでは「材料手配→加工→組立→検査→出荷」という一連の流れを把握し、それぞれの工程で遅延が発生しないよう調整します。

評価:
この記述は正しいです。


④ 流動数曲線による生産数量の把握

記述内容:
「連続生産において、生産数量の進度を把握するためには流動数曲線が利用できる。」

解説:
流動数曲線(Flow Diagram)は、生産数量や仕掛品数などを時間軸で可視化するためのグラフです。

この曲線を用いることで、生産ライン全体でどれだけ製品が流れているかを把握できます。

特に連続生産(例:食品や化学製品など)では、このような視覚的なツールが有効です。

例えば、ある時点で仕掛品が急増している場合、その原因を特定して対策を講じることができます。

この記述は正しいです。

評価:
この記述は正しいです。


⑤ 進捗管理の手順

記述内容:
「進捗管理は、進度分析、進度判定、進度対策、効果確認の手順によって実施される。」

解説:
進捗管理は以下の手順で実施されます:

  1. 進度分析: 現在の状況と計画との差異(遅れ・先行)を分析。
  2. 進度判定: 差異が許容範囲内かどうか判断。
  3. 進度対策: 必要に応じて調整策(人員追加・設備増強など)を実施。
  4. 効果確認: 対策後に改善効果を確認し、新たな課題がないかチェック。

このプロセスは一般的な進捗管理手法として広く認識されています。この記述も正しいです。


まとめ

問題要点

  • 進捗管理は、生産や作業計画通りに物事が進むよう監視・調整する重要な活動。
  • 計画よりも先行して作業を進めると仕掛品や在庫品が増える可能性があるため、「②」の記述は不適切。
  • 他の選択肢(①, ③, ④, ⑤)は正しい内容であり、それぞれ重要な概念や手法について説明している。

正解

  • ② 作業を計画より先行して進行するようにすると仕掛品や在庫品削減につながるという主張は誤り。

感想

頻出のテーマ、とのことですが今まではそんなになく。

とはいえゼロではなく、ちゃんと出題されておりますね。

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