令和2年度 経営工学部門 Ⅲ-9

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問題

Ⅲー9 1種類の製品を生産する職場において、次のa〜iの【条件】のもとで、今後4期の能力と負荷のバランスをとって、必要最小限の作業者数による生産計画を求めるとき、下記の選択肢のうち、最も不適切なものはどれか。

【条件】
a. 1つの職場には、同じ生産能力をもつ複数の作業者を配置する。

b. 製品1個当たりの標準時間は、0.8時間である。

c. 4期の稼働日数及び需要量は、下表のとおりである。

1234合計
稼働日数(日)1920171874
需要量(個)1,5201,6001,4401,4105,970

d. 1日の実働時間は、一人当たり8時間で、稼働率は90%とする。

e. 各期の需要量は、その期ごとに満たさなければならない。

f. 第1期の期首在庫量は、0とする。

g. 必要最小量の期末在庫は、保持してよい。

h. 4期を通じて毎日の作業者数は、一定とする。

i. 適合品率は、100%である。

① 第1期の負荷工数は、1,216(人時)である。

② 作業者数を9名とした場合の第2期の生産能力は、1,296.0(人時)である。

③ 作業者数を10名とした場合の第3期の生産量は、1,530個である。

④ 4期合計の負荷工数は、5,970(人時)である。

⑤ 必要最小限の作業者数は、10名である。


解答

正解は 4 になります。

問題の概要

本問は、生産管理の基本である「能力(Capacity)」と「負荷(Load)」のバランスを、工学的・数学的な視点から計算し、最適な生産計画を策定する能力を問う実務的な問題です。

経営工学において、生産計画を立てる際の根幹となるのが工数(Man-hour)の概念です。
工数は「作業量」を時間の単位で表したものであり、以下の計算式で定義されます。

$$負荷工数 = 生産量 \times 製品1個当たりの標準時間$$

また、これに対抗する「能力」は、作業者数、稼働日数、稼働率などを掛け合わせて算出されます。

$$生産能力 = 作業者数 \times 稼働日数 \times 1日の実働時間 \times 稼働率$$

本問では「各期の需要をその期ごとに満たす(欠品不可)」かつ「作業者数は全期を通じて一定」という制約条件があります。
これは、急な雇用や解雇を避け、安定した雇用環境を維持しつつ、在庫を緩衝材(バッファ)として活用する生産平準化の考え方を反映しています。


各選択肢の詳細解説

① 第1期の負荷工数は、1,216(人時)である

負荷工数は、製品を作るのに必要なトータルの時間です。
第1期の需要量は 1,520個、標準時間は 0.8時間/個 なので、

$$1,520 \times 0.8 = 1,216(人時)$$

となり、この記述は正しいです。

② 作業者数を9名とした場合の第2期の生産能力は、1,296.0(人時)である

生産能力は、供給可能な時間の合計です。
第2期の稼働日数は 20日、1日の実働時間は 8時間、稼働率は 90%(0.9)です。
作業者数が 9名の場合の計算は以下の通りです。

$$9名 \times 20日 \times 8時間 \times 0.9 = 1,296.0(人時)$$

となり、この記述は正しいです。

③ 作業者数を10名とした場合の第3期の生産量は、1,530個である

まず、10名体制での第3期の生産能力(時間)を算出します。

$$10名 \times 17日 \times 8時間 \times 0.9 = 1,224(人時)$$

この能力で生産可能な個数は、能力を標準時間で割ることで求められます。

$$1,224 \div 0.8 = 1,530(個)$$

となり、この記述は正しいです。

④ 4期合計の負荷工数は、5,970(人時)である

これが不適切な記述です。「5,970」という数値は、表にある4期合計の「需要量(個)」をそのまま転記したものです。
負荷工数は、合計需要量に標準時間(0.8)を掛ける必要があります。

$$5,970(個) \times 0.8 = 4,776(人時)$$

単位が「人時」である以上、個数そのものと一致することはありません。

⑤ 必要最小限の作業者数は、10名であ

全4期の需要を「欠品なし」で満たすための人員を、在庫の推移(累計能力 vs 累計負荷)から判定します。
1人の1日あたりの生産能力は、$8 \times 0.9 \div 0.8 = 9$ 個分です。

  • 作業者 9名体制の場合:
  • 第1期: 能力 1,539個(19日×9個×9名) > 需要 1,520個 $\rightarrow$ 19個の在庫が残る。
  • 第2期: 能力 1,620個(20日×9個×9名) > 需要 1,600個 $\rightarrow$ 前期分と合わせて 39個の在庫
  • 第3期: 能力 1,377個(17日×9個×9名) < 需要 1,440個 $\rightarrow$ 63個不足
    • 在庫 39個を使い果たしても、24個足りない(欠品)

9名では、第1〜2期で貯めた在庫を活用しても第3期の需要の山を越えられないため、最小人数は 10名 となります。
したがって、この記述は正しいです。


追加解説

実務における「能力と負荷の調整」では、本問のように作業者数を一定にする「生産平準化」のほか、残業、外注、派遣労働者の活用などが検討されます。
在庫を緩衝材(バッファ)として使うことは、需要変動に対する古典的かつ強力な手法ですが、在庫保持コストとのトレードオフが発生します。
経営工学的には、これらを最適化する「セールス・アンド・オペレーションズ・プランニング(S&OP)」が重要な役割を担います。


まとめ

  • 負荷工数:生産量に標準時間を乗じた「必要な作業時間」。
  • 生産能力:人員、日数、稼働率を乗じた「供給可能な作業時間」。
  • 生産平準化:在庫を「能力の貯金」として活用し、人員を一定に保つ手法。
  • 判定のコツ:全期間の平均だけでなく、各期末時点での累計で欠品がないか確認する。

感想

生産計画、実はよくわかっていませんで。

購買部署が発行してくる数量に対し、ああそうなのね的に盲目的に従っていた印象。

実はちゃんとした根拠があるのは知ってましたがそこに入り込むこともなく過ごしていました。

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この頃よりは理解が進んでるハズなんですけどね!

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
同じ道を進む方や、資格取得を目指す方のお役に立てる情報をお届けします。

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