令和2年度 経営工学部門 Ⅲ-17

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問題

Ⅲー17 抜取検査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

① 規準型抜取検査は、消費者保護の立場から、受取側に対する保護を規定し、危険率には消費者危険だけを考慮する抜取検査である。

② 逐次抜取検査は、1個ずつ又は一定個数ずつのサンプルを試験しながら、その累計成績をその都度ロット判定基準と比較することによって、合格/不合格/検査続行のいずれかの判定をする抜取検査である。

③ 選別型抜取検査は、ロットに対して抜取検査を行い、不合格と判定したロットは全数選別する抜取検査である。

④ 調整型抜取検査は、ロットの受渡しが連続して行われる場合に、過去の検査の履歴などの品質情報によって、検査方式を調整する抜取検査である。

⑤ 多回抜取検査は、毎回定められた大きさのサンプルを試験し、各回までの累計成績をロット判定基準と比較し、合格/不合格/検査続行のいずれかの判定をし、一定回数までに合格か不合格かの判定をする抜取検査である。

明るいラボラトリーのような清潔感のあるオフィスで、ロングヘアでグラマーな日本人女性がホワイトボードを使って抜取検査の解説をしている様子。ボードにはOC曲線や『JIS Z 9015』といった専門的なキーワードが書き込まれており、背景では多国籍な同僚たちが熱心に資料を確認している。

解答

正解は 1 になります。

問題の概要

製造現場における「検査」は、不適合品を次工程や市場へ流さないための防壁です。
しかし、全数検査は破壊検査(強度試験、寿命試験など)では不可能ですし、非破壊であっても膨大なコストと時間がかかり、さらには検査員の疲労による「見逃し」というヒューマンエラーのリスクも孕んでいます。

そこで、統計的根拠に基づき、「一部のサンプル(標本)からロット(集団)の品質を推定する」抜取検査が設計されました。
本問で問われているのは、その設計思想の分類です。
誰のリスクをどこまで許容するのかという「思想の違い」を理解することが、実務および試験対策における重要ポイントとなります。

各選択肢の詳細解説

① 規準型抜取検査(不適切:正解)

この記述が誤りである理由は、抜取検査の「公平性」を無視している点にあります。

  • 定義: 供給者(生産者)と購入者(消費者)の両方の要求を満たすように設計された検査です。
  • 二つの指標:
    1. 生産者危険($\alpha$): 良い品質($p_0$)のロットを誤って不合格にする確率。通常5%に設定されます。
    2. 消費者危険($\beta$): 悪い品質($p_1$)のロットを誤って合格にする確率。通常10%に設定されます。
  • 結論: 問題文の「消費者保護の立場から…消費者危険だけを考慮」というのは、生産者側の「不当に不合格にされるリスク」を無視しており、規準型の定義に反します。

② 逐次抜取検査

サンプリングを1単位ずつ行い、それまでの累計結果をグラフ上の「合格域」「不合格域」「検査続行域」の3領域に照らして判定します。

  • メリット: ロットの品質が極めて良好、あるいは極めて不良な場合、固定的なサンプルサイズよりもはるかに少ない数で判定が終了します。
  • デメリット: 判定が出るまでサンプル数が確定しないため、現場の作業計画が立てにくい側面があります。

③ 選別型抜取検査

JIS Z 9006などで規定される方式です。

  • 仕組み: 抜き取ったサンプルが不合格判定基準($Ac$)を超えた場合、そのロットをそのまま返品せず、その場で残りの全数を検査(選別)し、発見された不良品を良品に交換します。
  • 保証内容: これにより、検査後のロット全体の不良率(平均出検品質:AOQ)がある一定の最大値(AOQL)を超えないことを保証します。

④ 調整型抜取検査

JIS Z 9015-1(計数値用抜取検査)が代表例です。

  • 動的システム: 取引の履歴に基づき、「なみ(通常)」「きびしい(不良が続いた時)」「ゆるい(安定して良好な時)」の3段階で検査の厳しさを切り替えます。
  • 目的: 供給者が品質を安定させるインセンティブを与え、合格が続けば検査コストを削減し、品質が落ちれば厳しくチェックすることで、トータルの品質とコストを最適化します。

⑤ 多回抜取検査

2回(二回抜取検査)やそれ以上の回数、サンプリングを段階的に行う方法です。

  • 手順: 1回目のサンプルで「明らかに合格」または「明らかに不合格」なら即決します。「どちらとも言えない(グレーゾーン)」場合のみ、2回目のサンプルを抜き取って合算で判定します。
  • 心理的効果: 1回あたりのサンプル数を少なく見せることができるため、検査員の心理的負担を軽減しつつ、トータルの検査効率を維持できます。

追加解説:OC曲線の見方と重要性

抜取検査の「実力」は、OC曲線(Operating Characteristic curve:検査特性曲線)によって一目で分かります。

  • 曲線の傾き: サンプルサイズ($n$)を大きくし、合格判定個数($Ac$)を調整するほど、曲線の傾きは急になります。これは、品質の良し悪しをより峻別できる「感度の高い検査」であることを意味します。
  • $Ac=0$ の罠: 合格判定個数を0にする(1つでも不良があれば不合格)と、OC曲線は指数関数的に急降下し、生産者にとっては「少しの不運で不合格になる」非常に厳しい検査になります。

まとめ

  • 規準型: 「お互い様($\alpha, \beta$ 双方)」のリスクを規定。
  • 調整型: 「過去の成績」で検査の気合(厳しさ)を変える。
  • 選別型: 「落ちたら全数チェック」で平均品質を死守する。
  • 逐次・多回: 「迷ったら追加サンプリング」で効率を稼ぐ。

感想

残念ながら今日は不正解。

拭き取り検査、過去問にそこそこでてくるのですが。

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今回のはなかなか不快ですね。

解説を厚めにしたのでちゃんと学習できた、ハズ。

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この記事を書いた人

技術士試験対策と経営工学の学びを発信するブログです。
私はもともと機械設計の仕事をしており、現在は経営工学の知識やスキルを習得中です。
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